音の存在感…小林愛実ピアノリサイタル サントリーホール 2022/3/17

やっとこの方の演奏を生で聴くことができました!小林愛実さん。
サントリーホールでの小林愛実さんのリサイタル公演。
弱音の美しさ、集中力、内なるパワー。音の存在感がとにかくすばらしかった…。
凛としていておっとこまえで、女性としても素敵だなと思いました。全然年下なんだけど、憧れます。
ワルシャワの聴衆や審査員を魅了したaire de Aimiはこれなのね!とものすごく頷きました。サントリーホール満員のお客さんも心から魅了されたリサイタルだったと思います。
小林愛実さんと私
スペインにいてクラシック音楽から離れていた頃でも、小林愛実さんの演奏はインターネットで時々聴いていました。
実はその時は小林愛実さんがものすごく有名な方だということを知らずに(お恥ずかしすぎる…)、ただたまたま見つけた愛実さんの演奏が好きで聴いていました。小林愛実さんが天才と呼ばれるピアニストだと知ったのはそのだいぶ後です。
引きこもりマックスのほとんど一日中家のベッドにいた頃、「あ!いつもインターネットで聴いてる愛実さんが出場されるのね」と知ってショパンコンクールの予備予選で久々に演奏を拝聴しました。
予備予選はプログラムを見ていなかったのですが、唯一時間を確認して演奏を聴いたピアニストが小林愛実さんです。
ショパンコンクールでは弱音の美しさがとても印象に残っていて、愛実さんの音をいつか生で聴いてみたいなと思っていたのでした。
小林愛実リサイタル@サントリーホール
2022年3月17日、ポカポカ陽気の暖かい日に小林愛実さんのリサイタルがサントリーホールで行われました。
開場時間ちょうどにサントリーホールに来たことがなかったので初めて見たのですが、18時になったら入り口の上にある扉が開いて、音楽が始まりました。かわいいね。
見終わってからホールへ入場。早めに現地到着を目指してるけど、1時間前に到着したのはお初です。
スタインウェイのピアノの調律中。この日はカフェではなくラーメンだったので、座席で本を読んで過ごします。
サントリーホールは日本初のヴィンヤード方式というのが採用され(ぶどう畑という意味らしい)「太陽の光のように音楽の響きが降り注ぐ」のが特徴だそう。
1月は前の方の席だったけど今回は2階なので、どんな愛実さんのどんな音が聴けるのか楽しみです。
第一部
開演前に愛実さんの声でリサイタルのご案内がありました。愛実さんの声、かわいらしくて素敵です。
小林愛実さんは、ショパンコンクールのファイナルで着用されていた西陣織の美しいドレスで登場されました。愛実さんは私服もおしゃれだよね。
ほっそりした小柄な方でしたが、実際の身長より舞台で大きく目立つ存在に見えました。陳腐な言葉になって申し訳ないけど「オーラ」がある人。
シューマン
アラベスク Op.18
シューベルト
ピアノ・ソナタ第19番 ハ短調 D958
厳かなシューマンの作品から始まりました。はぁぁ配信で見ていた以上に弱音が美しいです。
シューベルトのピアノソナタ、とてもかっこよかった。演奏を聴いていて、愛実さんは内側に宿るパワーがものすごくありそうだと思いました。
音に迫力があるとか演奏が豪快という意味ではなくて、芯の太さみたいなもの。ここ最近リサイタルやコンサート続きで聴いていましたが、愛実さんが最もパワフルに感じました。
自分の語彙力では表現しきれないくらい弱音が美しいです。とても息の長い弱音というか、聴いている人をぐぐぐっと惹きつける音。
私の乏しい表現力で伝えることができなくてもどかしい。この愛実さんの弱音を生で聴くことができたのは本当に嬉しいです。
第二部
20分の休憩を挟んで第二部。小林愛実さんのショパンを聴くことができました。
ショパン
24の前奏曲 Op.28
No.15「雨だれ」以降が特にoutstanding!
ものすごい集中力。まさに「固唾を飲んで」という言葉がぴったりで、会場の皆さんが愛実さんの一音一音に集中して聴き入りました。
かっこいいーーー涙。
24の前奏曲の演奏の中でいろいろな感情が見えて、小林愛実さんの人生で経験したものがぎゅっと詰まっているような気がしました。
NHKのドキュメンタリーを見て、ショパンコンクールの3次予選の後に涙を流されていました。ピアノを弾くことが辛くなった時もあったけど「(3次予選は)ちょっと楽しかった」って。美しい涙だった。
まだお若いけど、辛いことも含めてさまざまな経験をされていると思います。とても凛とした女性。美しい。
アンコール
アンコールはショパン3曲でした。
ショパン:アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ
ショパン:ノクターン「遺作」
「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ」をアンコールで聴くことができると思っていなかったので、感激。
ノクターン「遺作」はラストの一音が忘れられません。小さいのに存在感がある、永遠に続くかのような音。
ワルツや大ポロネーズのような華やかな曲でも外に出ていく表現ではなく、内側を見つめるような音楽が印象的でした。
音の存在感
小林愛実さんは集中力と音で会場を支配する力がものすごい。愛実さんの内なるパワーに魅了されました。
ワルシャワの聴衆や審査員が小林愛実さんに魅了された気持ち、よくわかる。
インタビューでは「見せる音楽には全然興味がないんです。(中略)華やかな演奏で客席を沸かせることもすごいけれど、私が目指しているのはどちらかというと、そうではないタイプのピアニストです。」とおっしゃってました。
小林愛実さんは、音の存在感によって聴いている人の心をつかむ音楽家。
今回のリサイタルは、小林愛実さんの最も思い入れのある作品たちでプログラム構成したそうです。選曲からも、愛実さんの思い描く音楽、伝えたいものを感じることができるような気がしました。
今月はリサイタルやコンサートの鑑賞が重なったけど、この愛実さんのリサイタルで今月の鑑賞記は終わりです。思い出深い3月になりました。
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