IDAGIO ブルース・リウ Keys to Successインタビュー

ピアニスト

クラシック音楽専門のストリーミングサービスを展開している「IDAGIO」が、Bruce Liu Key To Successと題したブルース・リウくんのインタビューを公開してくれました。

インタビュアーさんが真面目な感じの人で、ブルース・リウくんがジョーク言っても「I see.」とか言って次に行っちゃうから笑、終始お堅めモードなインタビューだったと思います。

でも、新しい話も聞けてとても興味深かった!ので、Key To Successのインタビュー(2022/2/14公開)について内容織り交ぜつつ、感じたことを書きます。

ブルース・リウくんは本当に話すことがとてもかっこいい。考えがしっかりしていて大人で、見習いたいです。

YouTubeの自動生成の翻訳を見ながら&辞書引きながら何度もインタビューを見直したんですが、フラットで落ち着いた思考をお持ちで、「オレー」連発しながら聞いてました。

インタビューはYouTubeで見られます。(リンクは記事下に)

英語は勉強中なので訳がヘンテコだったらすみません。

ファイナルの心境

たくさんの人が見ていてファイナルでステージに立った時の心境は?

自由になった、軽くなった瞬間
ファイナルに行くことで、用意していた曲を全て弾くことができたという(目標が)ある意味達成された
オーケストラメンバーがいてくれて一人ではないので、彼らが緊張やストレスを打破するのを手伝ってくれた

ストレスや緊張をdestruction(破壊)したかったと言っていました。ファイナルは楽しんで弾くことができたのかなぁ♪

コンクールへの準備

聴衆の前で緊張しないようにする方法とコンクールの準備

コンクールであるけれど、それはパフォーマンスする上でのプラットフォーム
音楽はいつも人生やその人自身のパーソナリティと繋がっていて、どのように生きてるかが音楽を唯一のものにしている

バルトークが言っていた「コンクールは馬のためのものであって、アーティストのためのものではない」という言葉は、半分賛成できる
確かにコンクールではミスしないようにとか、好かれるようにとか、安全策を取るような演奏をするけど、それはコンクールだからではなく、私たちはリスクを取ったり、オリジナリティを出したりと、頭を使ってる(コンクールに挑戦してる)
コンクールで安全策を取る演奏をするなら、それは自分が決めたことであって、コンクールだからそうするというわけではない
他の人の演奏をCDで聴いたり、楽譜を読んでインスピレーションを受けたり、そういうことが演奏へのアプローチになる

途中聞き取りにくかったのですが、ブルースくんにとってコンクールのために特別な何かを準備するのではなく、以前に他のインタビューでも言っていた「生き方が音楽に表れる」ことが根幹にあるのだなと、ここに関してブレない芯みたいなものを感じました。

準備に関して言うと、パンデミックで1年自由になり、ある面ではよく、ある面ではよくなかった
2020年に演奏できるのをとても楽しみにしていたから、延期のニュースを聞いた時は残念に思ったしパニックになった
追加の1年どうすればいいか
ショパンへの新鮮さをキープできるか
どのようにインスピレーションをキープするか
そして生活におけるインスピレーションはルーティンが変わったことで変わったので、それが大きなチャレンジだった

新鮮さを持ち続けることが音楽家にとっては重要だし難しいことだと、たびたびインタビューで言及されています。

1年期間が伸びたことで練習できる時間が増えるいい面もあるだろうけど、新鮮さやインスピレーションを保つのは精神的に苦労される面もあったのだと想像します。

パンデミック以来、録音をたくさんした
オンラインクラスでは録音を先生に送らなきゃいけなかったし、自分の録音を聞かなければいけなかったので、第三の視点を持つことができた
アーティストはみんな自分の演奏を聴くのが好きじゃないと思う、音が悪いし、自分がイメージしているようによくできてないから
でも、この録音の手法によって自分の弱点を知った

自分の演奏の録音を聴くのは大嫌いだと以前も言ってましたね。

私は演奏家ではないけど、この気持ちとてもよくわかります。自分が踊っている姿を動画で見るのは大嫌い。自分で思っている踊り方と実際の踊り方が驚くほど違うから。「私こんなひどいのー!?」って動画を見るたびに意気消沈してました。

常に低い期待値を持っているのが良くて、実際は思っているよりもいいヒーローかもしれない

聴衆の反応

コンクールの初めの方から、あなたがお気に入りと言っていた人が多くいて、ファイナルの時は他のコンテスタントよりも早く聴衆がスタンディングオベーションになってすごくわかりやすい反応でしたが、そういう聴衆の反応をどう感じてましたか?

個人的には何も…なぜかというと、ほかのコンテスタントの演奏を見ていなかったので
もちろん聴衆がとてもサポートしてくれて温かいのは感じてました
パンデミックの間パフォーマンスしてなくて7月の演奏が1年ぶりだったし、ホールや聴衆も熱狂してた感じ
ステージに上がったときに、とても静かなんだけど、空間全体で増幅するような大きなエネルギーがあった
僕は自分の世界に入っていたのであまり気にしていなかったけど
予選ごとの聴衆のリアクションはボーナスでした

1次予選からブルースくんの演奏後の聴衆の反応はとても良かったですよね!現地では早くから優勝候補と言われていたような噂も目にしましたが、予選を追うごとにファンがどんどん増えて熱狂的な人気だったのではないかと想像できます。

自分ではあまりそこにフォーカスせずマイペースで、他のコンテスタントの演奏も聴かなかったところは、ブルース・リウくんの心の落ち着きを表しているようです。

それにしても現地で予選から演奏聴かれた方が本当にうらやましい!

他のコンクール経験

ルービンシュタインや仙台など他のコンクールにも参加されていますが、聴衆は違いますか?ワルシャワでの経験は特別でしたか?

全てのコンクールが異なる経験なので、ルーティンとかリピートしてる感じはありません
音楽もコンクールもそれ(ルーティンみたいになること)は危険
もちろん(コンクールにおいての)ゴールはありますが、新しい楽しい冒険があります

毎回フレッシュな演奏を求めるブルース・リウくんらしい考え。コンクール慣れせず、新しいチャレンジを楽しむ精神が素敵です。

大人向けのコンクールはモントリオールが初めだと思いますが、地元でモントリオールシンフォニーとの共演で雰囲気がとてもよかったので、良いスタートだった
17歳の時でファイナルにいくことができ、大人向けのコンクールがどんな感じかとか新しい視点をくれた

8歳でピアノを始めて10年経たない17歳でコンチェルトを演奏するってすごいぃぃぃ。

私がピアノ習い始めて10年の頃は、まだツェルニーやってたんじゃないかな…。

仙台のコンクールはコンチェルトのコンクールで興味深い
4日間で3つのコンチェルトを演奏しなければならず、17〜18歳の時だったので大きなチャレンジでした
日本の聴衆は規律正しくてとても静かなので、とても集中したステージ
一方で地震がある土地なので、演奏中でも地震がある時の備えをしなければいけなかった
オーケストラと共演する機会はたくさんはないから、仙台のコンクールはオケと協力することなど学びが多かった

日本以外でクラシックのコンサートに行ったことがないのでわからないけど、海外のコンサートは静かではないの?クラシックのコンサートは海外でも軒並み静かな印象なのだけど。

地震の備えの話はバックステージでとか言ってたから、もし地震が起きたらこうしてくださいねとか言われてたのかなと思いました。

オーケストラとの共演経験は、今回のショパンコンクールでも役立ったようです。45分しかないリハーサルをどのように組み立てていくかなど。

今後について

優勝後のこの1年ショパンをさらにたくさん弾くと思いますが、モード的にはショパン?それともベートーヴェンとかモーツァルト弾きたい?

半分半分です
まだショパンを楽しんでるし、コンチェルト第1番を20回弾いた後なのでやりすぎ感もあったりするけど、毎回異なるオーケストラ、ホール、ピアノなので弾くたびに新しいインスピレーションを得ている
これは私たちピアニストにとっては楽しみなことです、悪夢でもあるけどね笑
ショパンの曲をたくさん弾いたけど、新しい演奏というのも見つけている

ブルース・リウくんにとってピアノは「各地にいる彼女みたいなもの」とよく言ってますよね♡毎回異なる彼女に寄り添った素敵な演奏を聴かせてくれるのは、聴いている方もワクワクします♪

もちろん他の曲も演奏し始めています
DGのプロジェクトも始まるし、フランス音楽を弾くのを楽しみにしてる
来年はショパンとリストのドン・ジョバンニ変奏曲を組み合わせる予定で、それも楽しみ

DGと一緒にプロジェクトを立ち上げたと言っていましたが、これは興奮案件すぎますー!!

そしてフランス語を自在に操るブルース・リウくんが、フランス音楽を聴かせてくれるのかも楽しみ♪

ピアノリサイタルのアンコールではたまにラモーを弾いていて、ラヴェルのコンチェルトはレパートリーだとも言っていました。私は子供の頃ラヴェルの曲にとても憧れがあって好きだったので、ブルースくんのラヴェルを聴いてみたいなぁ。イメージにとても合いそう。

活動の拠点とホームタウン

フランスで生まれてカナダに移住して、今もホームタウンはカナダですか?それともヨーロッパに?多言語を話しますよね?

中国語(標準語)とフランス語、英語を話します
アーティストにとってどこがホームかを言及するのはなかなか難しいですが、設備的にはヨーロッパはいいので、ヨーロッパにも拠点を置くように動いてます、パリが一番簡単かな
モントリオールは友達もたくさんいるし、ここで育ったので常に私のホーム

音楽家として活動の幅を広げるのに、パリにも拠点を設けるような言い方をされていました。生まれはパリだしフランス語が話せるから、すぐに生活に慣れることができて音楽に集中できそうですね。

あぁぁヨーロッパに戻りたいぃぃぃ。

師匠ダンタイソン

師匠のダンタイソンについて、あなたが優勝した時のリアクションはどんなでしたか?

彼はとても内向的で謙虚な人なので、リアクションは理性的なものでしたが、もちろん内面では感動があったのは感じました
優勝の後のお祝いではなく、彼が出発する日の朝4時とか5時とかそのくらいに、もっと真面目な話をしました
優勝はとても大きな責任であること
その後2ヶ月コンサートが続いたので、生活変化に対応することが必要で、どうやって生活をオーガナイズしていくか、どのようにコンサートを選ぶか、どのようにピアニストとして成長していくかなど、全部とても真面目な話でした
なのでシャンパンがあって、女の子たちが部屋にいて、みたいなお祝いではなかったです(あはは)

先日ダンタイソンさんについて書かれた本「ショパンに愛されたピアニスト」を読んで、ダンタイソンさんの質素で謙虚なところや、子供の頃から物事を深く捉えているような性格にとても魅力を感じ、ダンタイソンさんのことをもっと知りたいと思っていたところでした。

このブルースくんのエピソードを聞いて、本から受けたダンタイソンさんの印象は実際もそうなんだろうなと。そして本当にいい師匠だと思いました。ピアノとしての師だけでなく、人生の師とも呼べる関係なのではないでしょうか。

ブルース・リウくんは真面目なインタビューの中でも適宜ジョークを入れてくれるので、話がとてもおもしろいです。シャンパンと女の子のくだり、思わず笑っちゃったYO.

すごく賢いんだろうなと思うし、人を惹きつける魅力をものすごく持ってますね。

おすすめ記事 ▷ 読書感想文|ショパンに愛されたピアニスト ダン・タイ・ソン物語

怒涛のコンサートスケジュール

優勝後はコンサート続きだと思いますが、毎日でもコンサートができるゼ!って感じなのか、リラックスする時間が必要なのか?

私は休息が必要だと思います
2〜3ヶ月何もしない時間が必要、普通の男の子として生活したい
1週間ピアノを弾かないとか、バケーションやプライベートな時間が必要
コンクールの後は休息を熱望しています

コンクールの3週間は心理的にも肉体的にもとても疲れたから、コンクールの後は家に帰りたい気持ちもあった
ある意味これは(気持ちの)戦い
(優勝してコンサートがたくさんあってという状況が)ピアニストの夢でもあるけど、優勝後にスケジュールをもらった時、頭の中ではジレンマがあった
まじで、これ全部弾くんですか?と
もちろん同時にすごい仕事でもある
コンクール後の2ヶ月は忘れられない経験になった

以前に韓国メディアのインタビューでも「今は休みたい」って言ってたけど、そりゃそうだよなぁ。コンクールに出場するだけでも大変なことで、全てを出し切ってコンクールが終わったと思ったら、ものすごい数のコンサートがすでに決まっていて、スケジュール表見た時私もビックリした!

コンサートで演奏するだけでなく、合間にはインタビューやエージェントとの折衝なんかもあっただろうから、本当に休む暇なしなんだろうなと想像します。殺人的なスケジュールが組まれているってどこかでジョーク言ってたと思う。

「普通の男の子として生活したい」という発言が、アイドルみたいでちょっと切なかったです。それだけ生活が大きく変わったんだよね。突然注目度がグンと高まって、プライベートな時間がギュンって減って、常にオフィシャルな状態でいなきゃいけないのは疲れると思う。

2年先までコンサートスケジュールが埋まっていると言っていたけど、どこかのタイミングで全てをオフって開放的な気分でおやすみしてほしいなと心から思います。

新しいエージェントの選択

新しいエージェントを選んだ理由や選び方

優勝の後たくさんのオファーがあって、夢が叶ったと同時にカオスな状況だった
優勝のあと4ヶ月くらいコンサートが埋まっていたので、早くエージェントを決めなきゃという焦りはなく急いではいなかった
彼ら(LIU KOTOW)はどちらも音楽家で、スケジュールをどのようにオーガナイズすればいいか、同じような状況で音楽家がどのように考えればいいかを知っている
彼らは熱意があって、ビジネス的な面だけでなく私の音楽を評価してくれた表現に心が動かされた
同じ苗字なのはボーナスです笑

「自分の音楽を評価してくれた表現に心動かされた」と言っていたのが印象的でした。いいエージェントさんに出会えたようで、今後の活躍が楽しみです。エージェントさんと話し合ってしっかり休んでね。

Key To Succes 若者へのメッセージ

Keys to successとして、大きなコンクールを目指す若者や、コンサートを行う若者へのメッセージをお願いします

毎日の小さなことを否定しない(見逃さない)こと
何もないように見えるかもしれないけど、一貫した規律正しい方法でやっていれば、結果はもっと大きくなる

ピアノを弾くだけでなく、マインドセットが大切
例えば私は毎日泳いでいますが、ストレスを解放し、身体をシェープに保つのにとてもよく立つ
ステージはたくさん汗をかくし、本当に運動選手のような仕事だから、身体を作ることは音楽家にとても重要です
それと、健康をキープすること

2次予選でワルツ弾きながら脚を踊らせる姿を見て、ブルース・リウくん運動神経良さそうと思いました。水泳をストイックに続けている感じがして、かっこいいね!

コンクールでは他の人が自分をどう思うかを考えるようになるので、自分が誰なのか忘れがち
他の人ではなく自分自身のことを聞くようにする
あなた自身が唯一無二であり、他の世界に影響された自分ではなく自分のパーソナリティを見せること
今日私たちにはたくさんの情報があるので他者に影響されやすいけど、自分自身でいることはとても重要

自分の情熱を継続することを考える
たくさん間違いをすると思うけど、チャーチルが言っていたように
“Success is going from failure to failure without losing enthusiasm.
成功とは熱意を失わずに失敗を繰り返すこと”

はい、めちゃめちゃかっこいいこと言う!

コンクール優勝直後にもおっしゃってました。「be myself」自分自身であり続けること。

私はアーティストではないけど、今の私にこの言葉はとても突き刺さります。

最後にチャーチルの言葉を贈ったのも素敵でした。

自分自身であること

真面目なお話をするブルース・リウくんかっこよかったです!

そしてところどころジョークを交えてくれるから、会話が楽しくなるし、オンラインインタビューでも距離感縮まるし、本当に賢くて素敵なお方だなと思いました。

師匠のダンタイソンさんから謙虚さも受け継いでいるなと思いました。普通の男の子であり(それがまたいい)、謙虚でありつつ、自分自身であることにも自信を持っている感じ。

いや、本当にかっこいいね!

WFIMC Keys to Success: Bruce Liu

moni

引きこもり中のゆるい推し生活を綴ります。スペインのセビージャでフラメンコ留学してました。趣味でピアノを習っていたのは4歳〜16歳くらいまで。素人です。話す言...

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