ショパンコンクール2021

ショパンコンクール2021:3次予選2日目の印象に残った曲と感想

2021年第18回ショパンコンクールの3次予選2日目を昨日(今朝まで)リアタイで見ました。

2次予選の感想と同じく、3次予選で出場者たちが弾いた曲の中で、各ピアニストについて1曲ずつ印象に残った曲と感想を書きます。

私は昔ピアノを習っていただけの素人で、今は聴く専門で楽しんでます。この感想は誰がファイナルに出場するかを予想するものではなく、完全なる私の好みを書いています。

10月15日 Morning Session 前半

2次予選で日本深夜に胸熱なステージを届けてくれたお2人の競演です。

Leonora Armellini(レオノーラ・アルメリーニ)
ソナタ第2番 / Sonata in B flat minor, Op.35

J J Jun Li Bui(JJジュン・リ・ブイ)
ソナタ第3番 / Sonata in B minor, Op.58

Leonora Armellini(イタリア)
Fazioli F278
情熱のある「幻想ポロネーズ」から始まり、華やかで艶のあるマズルカは女性の包容力のようなものを感じました。
Fazioliのピアノということもあるのか、低音に迫力がある「ソナタ第2番」は重々しさを感じると共に、第3楽章は後に希望が見えるような明るさが印象的。長い曲でしたがあっという間の演奏でした。
レオノーラさんは「豊潤」という言葉が似合いそうです。迫力があって包み込むような母なる演奏がとても魅力に感じます。
出場前に英語で司会の方がレオノーラさんを紹介する時に使用ピアノを誤って「カワイ」と言ってしまったんですが、一瞬「え?カワイって言った?」みたいな曇った表情を見せた後、すぐに笑顔に。胸の前でハートを作った姿は愛しすぎました。

J J Jun Li Bui(カナダ)
SHIGERU KAWAI
2次予選の時も思ったんですが、最初の空気を作るのがとても上手な17歳。「バラード第2番」で自分の世界にみんなを連れて行きます。
カワイのピアノも低音がよく響くので、重みのあるバラードに聴こえます。マズルカも落ち着いて見えました。17歳でこんなバラードやマズルカが弾けるなんて...転生してますよね?
「ソナタ第3番」でも低音が響き、一つ一つの音がしっかり聴こえました。ダイナミックな演奏で、ラストは迫力で締めて男らしかったです。
結構大きめのタオルで顔を拭いて無造作にピアノに置くところだけ17歳っぽさを感じて、ほっこりした気持ちになりました。

10月15日 Morning Session 後半

憂いがあって儚げな印象だけど、おそらく芯がめちゃくちゃ強そうと思った女性2人の競演でした。

Michelle Candotti(ミシェル・カンドッティ)
バラード第2番 / Ballade in F major, Op. 38

Yasuko Furumi 古海行子
ソナタ第3番 / Sonata in B minor, Op.58

Michelle Candotti(イタリア)

スタインウェイ 479
クラシカルな魅力のあるかわいらしいミシェルさん。「バラード2番」はものすごく柔らかい音で始まりました。
全体的に曇りのあるような優しい音が印象的で、嫌味がない演奏は体にスッと入ってくるような心地よさがあります。カワイのはっきりした迫力ある音もいいけど、スタインウェイの上品で優しい音もいいなぁと思いながら聴いていました。
クラシカルな彼女のイメージと合うような柔らかい音のマズルカ。「ソナタ第2番」のお葬式では鍵盤を見ずに強いまなざしで弾いた瞬間が印象的でした。

古海行子(日本)

スタインウェイ 479
最初に弾いた「ロンド」に心が惹かれました。前に弾いたミシェルさんと同じスタインウェイ479なのですが、古海さんのロンドではくすみのない音に聴こえ、曲が持つ軽快さが伝わりました。
一転、マズルカはしっとりした音が際立つ演奏。古海さんが出す多彩な音を楽しみました。
「ソナタ第3番」は息づかいが見えるような深い音楽で、柔らかい音が心に浸透するようでした。ラストの盛り上げ方もドラマティックで、惹きつけられました。
古海さんは小柄な方だと思いますが、ぶれない迫力があり、芯の強さを感じる演奏です。

10月16日 Morning Session 前半

カワイの音を操る独自ワールドな師と、宝石箱のように美しい嬢の競演。対照的なキャラの2人のソナタ第2番を連続で聴くという興味深い回でもありました。

Alexander Gadjiev(アレクサンデル・ガジェヴ)
幻想ポロネーズ / Polonaise-Fantasy in A flat major, Op.61
ソナタ第2番 / Sonata in B flat minor, Op.35

Avery Gagliano(エイヴリー・ガリアーノ)
ソナタ第2番 / Sonata in B flat minor, Op.35

Alexander Gadjiev(イタリア/スロベニア)

SHIGERU KAWAI
カワイの音を自在に操るのが得意そうなガジェヴ氏。
「幻想ポロネーズ」で一気にガジェヴワールドに引き込みました。カワイの重低音がよく響く、ダイナミックな演奏。カワイのピアノの響きを熟知していそうです。ガジェヴさんの個性的な雰囲気にこの曲が似合う気がする。
マズルカはペダルを割と踏んでいたのか?妖艶でおしゃれなマズルカでした。
「ソナタ第2番」で割と速い演奏で、どんどんガジェヴワールドへ。引き込まれている間に終わってしまったような勢いがありました。ガジェヴさんの演奏は、行ってはいけないダークサイドに引きずり込まれるような怖い魅力があります。カワイのピアノを上手に操っていらしゃるのか、一音一音がはっきり聴こえました。
年齢不詳で作家のような雰囲気があり、不思議さんなのか自信家なのか、有無を言わせないような独特なワールドを展開。

Avery Gagliano(アメリカ)

スタインウェイ 300
所作も音もお顔も全てが美しい宝石箱のようなガリアーノ嬢。
前のガジェヴ氏が最後に弾いた「ソナタ第2番」からスタートだったので、違いがとてもよくわかりました。
この方は音がとにかく美しい。腕に抱かれるような優しい音で、まるで森林浴しているようなヒーリング効果があります。大地を感じるような第3楽章は深く深く、第4楽章のモヤモヤ感が印象的でした。
品が良い舞踊が見えるようなマズルカ、抑揚が素敵で音の美しさが際立つスケルツォ第2番と、彼女の持つ宝石感をたっぷりと味わうプログラムでした。
どなたかがTwitterで「圧倒的聖母感」とつぶやいてらっしゃいましたが、本当にそう思います。罪を改めたくなる気持ちになる音楽でした。

10月15日 Morning Session 後半

こちらも対照的なキャラクターの2人。スペイン ヒホンの大砲と狂気迫る17歳のメーテルの競演です。

Martín García García(マルティン・ガルシア・ガルシア)
ソナタ第3番 / Sonata in B minor, Op.58

Eva Gevorgyan(エヴァ・ゲヴォルギアン)
ソナタ第2番 / Sonata in B flat minor, Op.35

Martín García García(スペイン)

Fazioli F278
みんな楽しみに待ってた!スペイン ヒホンの大砲マルティン・ガルシア・ガルシアくんの登場です。この日も蝶ネクタイにジャケットのクリスマススタイル。毎回洋服を変えてくるおしゃれさん。
ソナタとマズルカ以外は前奏曲とワルツというプログラムは他の人とは違っていて、重ための曲が連続しないのが良かったです。聴き疲れしないし、プログラムにハリが出る気がします。
歌いながら弾くのがガルシアガルシアくんのスタイル。最初の前奏曲でやはり歌い始めました。3曲の前奏曲を聴いて、こんなに優しい音で弾く人だったのだっけと、改めてガルシアガルシアくんの音楽の引き出しの多さに期待を膨らませました。3曲目の最後の音がめちゃくちゃ優しく感嘆。
「ソナタ第3番」では頭上に妖精(ショパン?)でもいるのかなと思うくらい上を見て弾いていて、いろいろな音楽が降臨。心から歌う彼の演奏は、一音一音大切に弾いているのが伝わります。
マズルカはポーランドの人とはまた違うよう個性的なマズルカで、歌うガルシアガルシアくんを見て、それに合わせて踊る姿が見えるようでした。ところどころラテンな感じが透けたのも魅力的。
曲と曲の間にお客さんが咳をして、咳終わり待ちするピアニストもいるけど、彼は自分が思ったら潔く弾き始める。そんな豪快さも素敵。
最後の「ワルツ第4番」は陽気に弾いている途中で、急に真剣なまなざしが垣間見え、そばに猫がいて注意深く見てるのかなと思うような楽しい演奏でした。ガルシアガルシアくんの顔の表情と一緒に演奏を聴くと2倍楽しめます。
客席はずーっと鳴り止まない拍手。ポーランドのお客さんもガルシアガルシアくん大好きということがわかって、幸せな気持ちになりました。来日待ってます!

スペイン ヒホンの大砲マルティン・ガルシア・ガルシアのピアノの魅力

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Eva Gevorgyan(ロシア/アルメニア)
スタインウェイ 479
気の強さが並々ならぬ感じがする狂気迫る17歳エヴァさん。ガルシアガルシアくんの後だとどうしても興奮冷めないまま演奏を聴くことになり、最初は前奏者の余韻を引きずったままになってしまいました。
とにかく迫力の演奏、集中力がすごそうです。いい意味で憂鬱な気分になるようなマズルカは、ロシアの空が見えるようです。余韻を大切にするような感じがあり、大人なマズルカでした。17歳で何があったんでしょう?
「ソナタ第2番」は狂気迫るものを感じました。第3楽章ではひたすら暗い道を歩いているような、真っ暗とはまた違うような、なんとも言えないグレーが見えました。

3次予選2日目を聴き終えて

各回で2名ずつ演奏されますが、2名のキャラクターが対照的だったり、さらに同じ曲を弾いたりすると、とても興味深いです。同じ曲でもここまで表現が異なるのか、と違いを楽しんでいます。

今日は3次予選の最終日。もうこれが終わったらファイナルなんですよね。

今日も個性的な出場者たちなので、とても楽しみにしています♪

  • この記事を書いた人

moni

引きこもり中のゆるい推し生活を綴ります。素人です。もう一つのブログにスペインのこと綴り中。スペインのセビージャでフラメンコ留学してました。趣味でピアノを習っていたのは4歳〜16歳くらいまで。話す言語は日本語とスペイン語。英語話せるようになりたくて勉強中。
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