ショパンコンクール2021

ショパンコンクール2021:3次予選3日目の印象に残った曲と感想

2021年第18回ショパンコンクールの3次予選3日目をリアタイで見ました。今日で3次予選も最後だと思うと寂しいような気も...。

2次予選の感想と同じく、3次予選で出場者たちが弾いた曲の中で、各ピアニストについて1曲ずつ印象に残った曲と感想を書きます。

私は昔ピアノを習っていただけの素人で、今は聴く専門で楽しんでます。この感想は誰がファイナルに出場するかを予想するものではなく、完全なる私の好みを書いています。

10月16日 Morning Session 前半

独自ワールドなニコライ氏と美しいキム嬢は、どちらもラストがソナタ第3番。2人とも全く演奏が異なっていたので、聴いていて興味深かったです。

Nikolay Khozyainov(ニコライ・ホジャイノフ)
ソナタ第3番 / Sonata in B minor, Op.58

Su Yeon Kim(キム・スーヨン)
ソナタ第3番 / Sonata in B minor, Op.58

Nikolay Khozyainov(ロシア)

スタインウェイ 479
2次予選でかなり独自ワールドが展開し、注目していましたニコライ氏。3次予選でも彼ならではのショパンを聴くことができました。
2次予選の衝撃的な英雄ポロネーズの出だしのように、そっと始めるノクターン第13番。ノクターンだからびっくりはしなかった。
昨日のエヴァ嬢のマズルカみたいにロシアのマズルカはしっとり系なのかな?哀愁漂うno.1だと思ったら、no.2では迫力の舞が見られました。
「ソナタ第3番」がとてもユニークでした。全体的に重めで独特の間や揺れがあります。強弱も独特で、引き込まれているうちにあっという間に演奏が終わりました。曲の間もワールドを途切らせない集中力がすごかったです。

Su Yeon Kim(韓国)

スタインウェイ 479
韓国の美しいキムさんは、上手でパフォーマンスが安定しています。自分で自分の音に納得しながら弾いている感じ。
マズルカでは上品で洗練された音が聴こえました。「タランテラ」という曲は初めて聴いたのですが、幻想曲、マズルカと聴いた後だったので新鮮で、気分転換になって良いプログラムでした。
「ソナタ第3番」は美しい音が印象的な正統派な表現。前奏者のようなユニークさはないけど、上手いし品が良いのでスッと自然に入ってくる音楽です。

10月16日 Morning Session 後半

日本人の小林愛実さんと地元ポーランドのマテウス氏が登場した回。マズルカと24の前奏曲という似たようなプログラムの流れで、前奏曲は2人の違いが見えて楽しめました。(マズルカは違う作品)

Aimi Kobayashi 小林愛実
24の前奏曲 / Preludes, Op.28

Mateusz Krzyżowski(マテウス・クシュゾフスキ)

マズルカ作品56 / Mazurkas, Op.56

小林愛実
(日本)
スタインウェイ 479
2次予選の小林愛実さんの演奏を聴いて、弱音がとても美しいことにびっくりしました。こんなに美しく柔らかい弱音って出るのですね!と。
マズルカno.1は弱音の美しさが響き、no.3、no.4では力強さも見えて抑揚の表現が素敵でした。どこか曇りのあるような音が、陰のある舞踊を思わせます。
「24の前奏曲」はとても難しい曲だと思います。短い曲の中で表現しなくてはいけないし、連続で24曲弾く集中力が必要そうです。初めの方は小林愛実さんの弱音の優しい音で続き、no.7はどんな胃痛も治りそうなほどの「太田胃酸 ありがとう いいくすりです」で心地よい気持ちになりました。
雨の粒が見えるような柔らかい雨だれから盛り上げ、次の曲への切り替わりはお見事でした。ラストへの盛り上げ方もすばらしく、集中力を切らさずにむしろボルテージをあげていたのが印象的。貫禄の演奏で圧巻。ものすごい精神力をお持ちの方だなと思いました。

Mateusz Krzyżowski(ポーランド)
スタインウェイ 479
この方も2次予選のワルツや英雄ポロネーズで、ポーランドの遺伝子を感じさせてくれた一人です。どことなくベッキー似。
サラリと弾くマズルカは、勢いがあるスカッとするマズルカ。ポーランドの人が弾くマズルカってなんでこうも自然と湧き上がる感じなんだろう、とまたもや思わせてくれました。体に染み付いているリズムという感じです。
「24の前奏曲」は間を空けずに24曲弾き切ったのが印象的でした。最後の方はかなりお疲れモードだったようだけど、曲間をあまりあけず流れを作るのが上手だなと思いました。
3次予選は途中までミスタッチがあまりなかったので、王道な演奏に思いました。ミスすると急に雑になる落差がある気がするけど、マズルカで醸し出す遺伝子はにくいです。

10月16日 Evening Session 前半

髪も袖も長めの手堅い地元ポーランドのヤコブ氏と、キュートな韓国のヒョクくんの競演でした。

Jakub Kuszlik(ヤコブ・コシュリク)
マズルカ作品30 / Mazurkas, Op.30

Hyuk Lee(イ・ヒョク)
ソナタ第3番 / Sonata in B minor, Op.58

Jakub Kuszlik(ポーランド)

スタインウェイ 479
温かい音で包容力感じるヤコブさん。そろーり始めた「幻想曲」を聴いて、あぁ優しくて強い、父のような(私の父は違うイメージだけど)音楽だなと思いました。
優しい歌が響くマズルカはフラッと弾きに来た感で、全てがナチュラル。ポーランドの人にとってマズルカはお手のものなのか?という印象さえ残しました。ポーランドの鬱っぽい響きがあるマズルカが陰で素敵です。
「ソナタ第3番」も優しい音で心地よく抱かれる空気感。なんだろうこの圧倒的な包容力は。第4楽章に向かって自然に盛り上げ、たっぷりめにクライマックスを迎えたのが素敵でした。
2次予選の時も書いたけど袖が長い気がするのと、髪も長くてなんでも長めがお好きなのかなと。髪の毛をかき上げながら演奏するけど、かためた方がいいんじゃないかなと無駄な心配をしてしまいました。髪かきあげる動作がないと逆に自分のリズムが崩れちゃうのかな。

Hyuk Lee(韓国)

SHIGERU KAWAI
将棋の藤井聡太さん似と言われるヒョクくん。待ちの時が笑顔でかわいいなと思ったら、登場も笑顔でキュンとしましたわたくし。
1曲目の「ラ・チ・ダレム変奏曲 Op.2」はモーツァルトのドン・ジョヴァンニの「お手をどうぞ」の変奏曲で、モーツァルト風味を感じます。この曲はヒョクくんの天真爛漫な感じにとても合っていて、思わず笑顔になりました。ご本人も笑顔で楽しそうに演奏していたのが印象的。まるで天使。くすみのない煌びやかな音を聴いて、きっとヒョクくんは心がきれいなんだろうなと思いました。
弾むような変奏曲の音から一転、マズルカでは華やかな空気や柔らかい物悲しげな音など、多彩な音の表現を見せてくれました。
「ソナタ第3番」で聴かせてくれた澄みきった音は青空に何かを描くようで、スッと心に触れてきます。第4楽章の流れる爽やかな響き。ラスト豪快に決めたのかっこよかったです。心に光を差すような音楽でした。こういう演奏好きです。
2次予選は途中で携帯が2回も鳴ったり、ソナタの後に拍手が起こったりで、なかなかドキハラな状況でしたが3次予選はアクシデントなし。ご本人はとにかく楽しそうでやり切った表情で、彼の笑顔に心が救われました。挨拶も退場もかわいかった永遠の弟イ・ヒョクくんでした。

ピュアで硬派なイ・ヒョク(Hyuk Lee)のピアノは幸せになる

第18回ショパンコンクールで見て、表現が好きだったピアニストその5。 韓国のHyuk Lee(イ・ヒョク)くんです。まだまだ若い21歳。 2次予選のドキハラな状況で動じずに堂々と弾いていたのが印象的で ...

10月16日 Evening Session 後半

大トリにふさわしい、躍るドラマティック演奏ブルース氏の登場です。

Bruce (Xiaoyu) Liu(ブルース・シャオユー・リュー)
ラ・チ・ダレム変奏曲 Op.2 / Variations in B flat major, Op.2

Bruce (Xiaoyu) Liu(カナダ)

Fazioli F278
2次予選のドラマティックな演奏に心を奪われて注目していました。
彼の演奏は私にとって華があります。マズルカはポーランドの方々のマズルカとはまた雰囲気が異なるけど、独特な緩急とダイナミックな演奏に惹きつけられました。
「ソナタ第2番」は第2楽章の内圧がすごく、このあたりから滝のような汗が滴っていました。汗を拭く間もなく次々演奏する集中力はすごいですね。第4楽章はショパンが「行進曲の後で両手がおしゃべりをする」と表現しているとwikiで読んだのですが、なるほどおしゃべりしている感は彼が一番あったかなと私は感じました。とても独特で印象に残る第4楽章。
最後の「ラ・チ・ダレム変奏曲 Op.2」になった途端、緊張がほぐれたように楽しそうに弾いていた姿が印象的です。キレがあって抜群のリズム感。魅力的で軽快なテンポの操りに、みるみるうちに巻き込まれていきました。本当にこの方の巻き込み事故は免れられない!巻き込まれて幸せ。躍る演奏で3次予選の大トリを華やかに飾りました。保存版決まりました。いやぁかっこいい!
楽しそうに弾いている時の疾走感が、スポーツ選手に見える時があるブルースさん。2次予選は脚が踊ってたし運動神経良さそう。

ドラマティック演奏に躍るブルース・リウ(Bruce Liu)のピアノ

第18回ショパンコンクールで見て、表現が好きだったピアニストその3。 パリ生まれカナダ国籍のBruce (Xiaoyu) Liu(ブルース・シャオユー・リウ)さんです。年齢は24歳。 1次予選は深夜帯 ...

3次予選3日目を聴き終えて

3次予選は、一人一人の演奏をコンサートやリサイタルを見ているような感じで楽しみました。

印象に残ってるのは、ポーランドの方々のマズルカの演奏です。国籍で制限を設けるのは好きではないと他の記事で書きましたが、それでもポーランドの血が流れるような独特のリズムに釘付けになりました。

23名の出場者の中から10名に絞られることを考えると、心が痛くなってきます...。出場者の努力やコンクールにかける思い、当日のプレッシャーや集中力は、私のような凡人には想像もつきません。

あと数時間後にはファイナル出場者が発表されます。

  • この記事を書いた人

moni

引きこもり中のゆるい推し生活を綴ります。素人です。もう一つのブログにスペインのこと綴り中。スペインのセビージャでフラメンコ留学してました。趣味でピアノを習っていたのは4歳〜16歳くらいまで。話す言語は日本語とスペイン語。英語話せるようになりたくて勉強中。
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