孤高の魔力 Lingfei (Stephan) Xieのピアノ

第18回ショパンコンクールで気になったピアニストその6。
カナダ/中国のLingfei (Stephan) Xie(リンフェイ・ステファン・シエ)さん(読み方合ってるのかな?)です。
2次予選以降で気になったピアニストの1次予選や予備予選を見るという、禁断なことに手を出しています。なぜ禁断かと言うと、素敵な演奏を見つけてしまってまたもや眠れない日々が続きそうだから。
そんな中で、Lingfei (Stephan) Xie(リンフェイ・ステファン・シエ)さんの中毒性のあるバラードを見つけてしまいました。
Lingfei Xieの2次予選のノクターン
Lingfei (Stephan) Xie(リンフェイ・ステファン・シエ)さんの演奏を初めて聴いたのは2次予選です。
リンフェイ・ステファンさんが2次予選で弾いた曲は以下。使用ピアノは「スタインウェイ 300」です。
ワルツ第8番 / Waltz in A flat major, Op. 64 No.3
バラード第3番 / Ballade in A flat major, Op.47
ノクターン第20番 / Lento con gran espressione in C sharp minor (WN 37)
アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ / Andante Spianato and Polonaise in E flat major, Op.22
初めの方は緊張されていたのかミスタッチが目立っていたけど、音の粒がきれいで、まっすぐな音色や飾らない繊細さが素敵だなと思いました。
4曲目の「ノクターン第20番(遺作)」があまりに美しかった。
優しい入りと高音の響き。往年を感じさせるような柔らかい音色で、物悲しい孤高のようなものを感じます。なんだろうこの孤独が見える憂いある表現は。かなり印象に残る演奏でした。
2021年のショパンコンクールで「ノクターン第20番」を弾いたのは、全ての予選ラウンドを見てもLingfei (Stephan) Xieさんだけでした。本当に美しかった。
この「ノクターン第20番」を聴いて、リンフェイ・ステファンさんの他の曲も聴いてみたいなと心に留めていました。
2次予選のYouTubeアーカイブ▼
予備予選で演奏していたノクターン第17番(Op.62 No.1)も素晴らしいです。
Lingfei Xieの1次予選のバラード
第18回ショパンコンクールが全て終了してから、やっとLingfei (Stephan) Xie(リンフェイ・ステファン・シエ)さんの1次予選の演奏を聴くことができました。
エチュード10-10 / Etude in A flat major, Op.10 No.10
エチュード25-11 / Etude in A minor, Op.25 No.11
バラード第4番 / Ballade in F minor, Op.52
まずとても印象的だったのは、1曲ごとに空気感を壊さずに続けて弾くスタイル。4曲を通して物語を語るようで、世界観が継承されています。ノクターンを演奏し始めた時から、彼に何かが憑依しているような感じにも見えました。
4曲目の「バラード第4番」が本当にすばらしいです。
柔らかく優しい音色は群を抜いていると感じました。自然で繊細な表現と、心地良い絶妙な揺れ。
2次予選のノクターンでも感じたように、リンフェイ・ステファンさんの演奏はどこかに「孤独」がある気がするのです。若干20歳でなぜにこの孤高が出てくるのか。
おそらく技術的にはまだ未完成な部分があるのだと思うけど、その未完成さもリンフェイ・ステファンさんの魅力につながっているのではないかなと思うような演奏でした。魔力のように酔える音楽。
なんて素敵な「バラード第4番」なの…。
スカーフを巻いた洋服とおしゃれな髪型で、竹内涼真と中村倫也を足して2で割ったような見た目と、お辞儀とかどことなく脱力系なのは今時っぽい。演奏を始めると、何かが乗り移ってる気がします。
1次予選のYouTubeアーカイブ▼
Lingfei Xieのピアノの魅力
何度も聴きたくなる吸引力を持ったLingfei (Stephan) Xie(リンフェイ・ステファン・シエ)さんのピアノ。
予備予選はマズルカが妖艶でとても魅力的でした。20歳で出せる艶っぽさ。
飾らない繊細さ。孤独を感じさせる音色。全体を通してつながる世界観。
Lingfei (Stephan) Xie(リンフェイ・ステファン・シエ)さんのとっても不思議な魔力を感じました。
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