マルティン・ガルシア・ガルシア×ハモン・ホセリートのインタビュー

やっと見ました!
マルティン・ガルシア・ガルシアのインタビューbyハモン・ホセリート。
ハモン・ホセリートのブランドもののおいしそうな生ハムを食べながらのインタビュー。ピアニストライフ、ピアノを弾くこと、彼女についてなど。最後の質問が興味深かったです。
インタビュアーとガルシアガルシアくんの2人ともスペイン語で話してるので、リズミカルな会話でした。スペイン語の響きが懐かしい〜。
ところどころ要約しつつ、インタビューの内容と思ったことを書いてみます。全訳ではないのでご了承ください。
YouTubeに30分ほどのインタビューがアップされています。(リンクは記事下に)
生ハムから始まるインタビュー
ハモン・ホセリート(Jamón Joselito)はスペインにある有名な生ハムのブランド。
こちらのチャンネルのインタビューは、生ハムの一皿を囲んで食しながら進みます。
最初に生ハムをどーぞと案内されて「No me lo puedo creer(信じられない)」「Que fantastico(なんてすばらしい)」と興奮されてましたガルシアガルシアくん。
コンサートの時は生ハムあるの?
あはは。あったらいいなぁ!いつもお菓子やフルーツを置いてます。
音楽家の人たちはどんな感じ?(人生を音楽に)捧げているような人たちでしょ?
まぁみんな人間なので(普通の人と)同じような感じです。
コンクールの最終日の後、みんなでホールで結果待ちしました。朝2時くらいまで。で、そこには生ハムはなかったの?
ない!笑!でもいい雰囲気でした。フィエスタみたいな。
音楽家を表現する言葉としてインタビュアーが「sacrificado」という言い方をしていたけど、何かに真剣に従事している人、人生を捧げているような人というセンティードなのかな。
スペイン人がインタビューで「Somos todos humanos.Somos iguales.(私たちはみんな人間で同じです。)」と言っているの、何度か見たことあるんです。以前に友達に
「人間はみんな母親のあそこから生まれて、自分より上にいる人、下にいる人なんてないのよ!」
と言われたのもすごくよく覚えています。
ガルシアガルシアくんの「Somos todos humanos.Somos iguales.(私たちはみんな人間で同じです。)」の言葉を聞いて、スペイン人の根底にある考え方なのかなと思いました。
ファイナルの後の結果待ちの時は疲れていて大変だったと思うけど、ファイナリストたちの仲が深まった時間でもあったようですね!
ピアニストライフ
人生で完全にピアノに従事すると決めたのはいつ?
僕は記憶力がすごく悪いので、4歳〜7歳くらいまでのことは全然覚えていなくて、このタイミングでピアニストになろうと決めた瞬間は全く覚えていない。
5歳でピアノを始めたんだけど、その前に何があったのかはわからない。
生まれて気づいたら人生にピアノがあった、おぅマジかみたいな笑。
ガルシアガルシアくんは自然とピアノに導かれたのかな、表現者になるよう天のお導きがあったのかなと、配信越しに観ながら感じてます。
コンクールで賞を獲得するまでの背景には何があった?
本をたくさん読んだ、芸術に関しての本。
何かに秀でるのにレシピはなく、コントロールできるものではないとわかった。
私の場合は(ピアノに従事できるような?)家族に生まれ、師匠に恵まれ、出身地のヒホンで学ぶことができ、学ぶ過程でみんながサポートしてくれた。
でも色々な犠牲も伴ってますよね?たくさん練習しなければいけないとか。
精神的な従事は大きいと思う。
朝起きてからずっと音楽のこと考えてるし、4〜5時間練習におけるメンタル面など。
そういうルーティンの疲れは存在する。
毎日数時間練習することの体力的な疲れではなく、精神的な疲れの方が大きいのだねー。
習得するのに苦労した曲、楽譜はある?
全部です。
全ての作曲家の作品は即興的な部分があるにせよ、バックに多大なる仕事や努力があって、学ぶときはそれを意識しなければいけない。音符を見てるだけではないから。
背景にある彼らの仕事に対して(学ぶのに)時間をかけなければいけない。
「全部」と即答してました。とても深い学びへの考察です。
ピアニストとしてどんな生活してる?ピアノ何個持ってる?
ピアノはマドリードの両親の家に1個あります。
普通の人がオフィスで働くのと同じで、5〜6時間ピアノの練習をする感じ。
それ(練習時間が多いこと)はあまり問題ではなく、バケーションの時に練習しなきゃいけないのに練習できないみたいな時の方が問題。
じゃあピアノ付きのホテルに滞在するの?
ピアノがあるスタジオの近くのホテルを探します。ちょっと大変だったりもします。
これビックリ。スペイン人は1ヶ月とか休暇を取ったりするけど、フラメンコのアーティストは1ヶ月まるまるギターを触らなかったとか、靴を履かなかったという人が結構いると思うんです。
だからガルシアガルシアくんは休暇中もピアノが弾ける環境を考えてると知って、とても熱心だなと思いました。
ピアノを弾くこと
ピアノを弾いてる時は何考えてる?
抽象的な世界になってる。何も起こってないというか。
言語を学ぶ時に似ていて、音楽はもっと抽象的だけど、変な感じです。
何かと何かががっちりハマるみたいな感じが自分で感じられて、それができたら聴衆に何かを伝えられる。
ピアノを弾いている時の感覚が、言語(おそらく他言語)を学ぶ時の感覚に似ているというのはおもしろい表現です。
とにかく変な感じがあると笑いながら言ってましたが、自分の中でピンとくる瞬間があるのかな。そうして自分の中で消化できたら、相手にも伝えることができるところが言語に似ているってことなのかな。
ピアニストがピアノを弾いている時に何を考えているのかってとても気になります。ガルシアガルシアくんが言うみたいな抽象的な世界なのか、集中していて何も考えていないのか。
以前にフラメンコのアーティストに踊ってる時何考えてる?と聞いたら、「お腹空いてる時は今夜の食事のこととか」って言われたことがあって腰抜かしたことがあるけど。笑。
誰と生ハムの皿を分けたいですか?
敬愛している人やあなたを感動させる人など(今現代にいない人も含めて)生ハムを見ると家族の思い出を思い出すので家族ですね。
クリスマスの夜中2時に生ハムを楽しんでる図とか思い浮かびます。
compartir un plato de jamón(一皿の生ハムを分ける)という質問の聞き方がユニークでした。
スペインのクリスマスは家族で長ーい食事をして、その後も家族でずーっと話をして、家族で濃密に過ごすんです。家族で過ごす楽しいクリスマスの思い出が、生ハムと結びついているの素敵ですね。
Amor de tu vida(愛する人)に何の曲を弾く?
3次予選の1曲目は今の彼女のお気に入りの曲。
コンクールのレパートリーを決めるのは大変で、審査員が何が好きかなとか考えるけど、そんなの誰もわからないし、2ヶ月前くらいに彼女にどうしようかなと聞いて、この曲にしなよってことで決めた。彼女は日本人なんだけど、日本人はショパンが好きだね。なんであんなに好きなのかに関してはわからない笑。
インスタのフォロワー60%くらい日本人wマジで?笑
日本人はホセリートのハモンも好きだよね。もちろん、フラメンコ、スペインも日本人は好きだね。
3次予選の1曲目はプレリュード Op.28の第17番でした。3〜4分の曲だからって言ってたけど、2ヶ月前に決めて本番までに仕上げられるものなんですか!
以前にインタビューで「大きな声じゃ言えないけど、ソナタ第3番は人前で一度も弾いたことなかったんだよね、へへへ」って言ってたけど、初出しがコンクールの大舞台ってすごいね!
舞台上で卓越したパフォーマンスをするために必要なものは?
音楽、聴衆、アーティストがあるとして、聴衆とアーティストは対等な立場にある。
究極的にはアーティストは聴衆のために弾いているのではなく、音楽のために演奏している。
(聴く方も)フレッシュな状態で、疲れていない状態でいないといけない。
素敵な考えだなと思いました。音楽家が常に聴衆に与えるだけでなく、聴衆も音楽家と対等な立場で音楽を楽しんでいるということなのだね。
将来について
ピアニストの人生はどんな感じ?
年齢を重ねたらエネルギーも体力的にも同じようにはいかないでしょ?人によって異なり、ピアニストの中には亡くなるその日までコンサートで弾いていた人もいる。
ルービンシュタインみたいに90歳を過ぎても弾く人もいれば、35歳でもう無理と違うことをやる人もいる。
将来的にどうなりたいかとかは?
頭の中にはやりたいことがたくさんあって、人生の中でずっとクラシック音楽に従事したいと思ってる。
音楽は言語であり、まずはこの抽象的な言語を理解することから始めなければならない。
例えばオペラを聴いて「なんでこんなに叫んでるんだ」とか思うこともあるけど。私は初めてオペラを聴いた時、寝ましたw
そりゃそうです。4〜5時間意味わからないものを見なければいけなかったりするしね。笑。
私が初めてあなたの演奏を見た時、「こんな素晴らしい音楽を弾くのは誰?」と感動しました。そういう驚きの感覚は音楽の素敵な部分ですよね。
あなたたちが中から音楽を持ってきてくれて、天使がいるんです。天使は持ってる人とそうじゃない人がいますから。
どのような形で音楽に将来関わるのかは言及していなかったけど、ガルシアガルシアくんがキラキラの音楽を作る瞬間を長く観られたらいいなと思います。
最後に
2022年はどんな感じ?
たくさんの場所に行きます。想像以上です。
日本は2回行きます。初めてだから楽しみです。
6月の来日楽しみに待ってます!以前にインスタライブで2回目は秋と言っていた気がするけど、それも情報解禁待ってまーす。
音楽家を志す人に伝える言葉は?
自分自身で何をやりたいか探すこと。
音楽への愛と、音楽の中で自分がやりたいことを探す。
そうすれば道はつながります。
そして最後の質問です。
この生ハム一切れは魔法の生ハムで、世界の1つだけ変えらることができます。何を変えますか?
それめっちゃ難しい質問ですね。
何でもできる力を得ることができます。
いつも思ってるけど、何でもできる力は特にいらないです。
それがあったら世界を簡単に変えられるけど、だったらこの世界にいる必要がない。別の惑星に行かないとね。
権力で何かを変えたいとは思わない。
例えばここであなたと話をしているのは権力のおかげじゃない。何かの才能のおかげかもしれないけど、誰でもみんな何かの才能はあるから。
私だったら「どこどこに行ってxxしたい!」とか言っちゃいそうだから、ガルシアガルシアくんの地に足がついた回答を聞いて自分が恥ずかしいと思いました。汗。
来日楽しみ
マルティン・ガルシア・ガルシアくんのインタビューを聞いて、ピアノと自身の才能にまっすぐ向き合う人に感じました。
舞台上でのパフォーマンスについて、音楽というものがあって、それに対してピアニストと聴衆が対等な立場にいるという考えが興味深かったです。
「音楽のために演奏している」という言葉を聞いて、なるほど彼の演奏を観て彼の音楽を好きになるのは、この考えが根底にあるからかなと思いました。
そしてスペイン人お2人の生ハムの食べ方にアルテがあると思いました。生ハムのつかみ方、口への運び方、味わい方、全ての動作が芸術的だった。
ガルシアガルシアくんの6月の来日とても楽しみです!
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