NHK BS「ショパン国際ピアノコンクール~世界最高峰のステージから」を今さら見た

1月に放送されたNHK BS「ショパン国際ピアノコンクール~世界最高峰のステージから」を録画していて、やっと見ました。再放送も終わったっつーのにようやく。
2時間の長丁場の番組だったけど、いろいろな曲の聴き比べができたのがおもしろかったです。
オソキンス様の演奏とインタビューが取り上げられていました♡
ピアニストでショパンコンクールの審査員でもあった海老彰子さん、作家の平野啓一郎さん、音楽ライターの高坂はるかさんがゲスト。司会のNHKアナウンサーお2人はピアノ経験者で、密度高くギュッと楽しめた番組だったように思います。
エチュード
初めに平野啓一郎さんの推しの演奏ということで、ブルース・リウくんのエチュードOp.25-4が紹介されました。
続いて参加者のエチュードの選曲やエチュードの解説について。審査のことは話しにくそうだった海老さんが、ピアノの弾き方になったら嬉しそうに話されていたのが印象的でした。
難曲と言われるエチュードOp.25-6とエチュードOp.10-1の聴き比べ映像がありました。
こうやって順番に見ていくと、ピアニストそれぞれの違いがわかっておもしろい!
とても印象的だったのは、JJ ジュン・リ・ブイくんのエチュードOp.25-4。手先がサラサラ動いていて、無駄な動きがない!すごーい滑らか!
京増修史さんのエチュードOp.10-1。音がきれいで、左手がどっしりしていて素敵だなと思いました。
ポロネーズ「英雄」
次はポロネーズ「英雄」Op.53の出だしの聴き比べ。
最後が予想通りのホジャイノフさんで、こうやって見ると(いや、比べて見なくてもだけど)すごく柔らかーい出だしなのが強調されます。配信で聞いた時すごくびっくりしたの。
後からインタビューでこの出だしの音の強さにはホジャイノフさんの熱心な研究とこだわりが反映されているのだと知って、信念を感じました。
後半オクターブの部分の聴き比べも、並べて聴くと違いがはっきり。ガルシアガルシアくんは、かなりたっぷりのテンポで弾いていたんだなぁ。
アンジェイ・ヴェルチンスキの「英雄」はとても好きだったのよね。個人的にこの方は、ポーランドの香りをすごく感じる人です。
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昔の日本人の映像
これまでショパンコンクールに出場された日本人ピアニストの映像も出てきました。初めてショパンコンクールに出場された田中希代子さんの映像も。
白黒の映像です。こんな昔の映像が残ってるのすごいね!
ゲストの海老彰子さんの映像(エチュードOp.25-4のやつ)も出てきました。とても堂々と演奏されている名演の映像ですが、舞台上で心臓が飛び出るほど緊張されていたそうです。
どんな状態でも弾けるようにと、朝起きて歯磨きよりも前にピアノを弾いたりして練習したとおっしゃってました。そんな特訓方法が!
選曲
オソキンス様出てきましたよ、ここで。
オリジナリティを出した選曲をした人ということで「フーガ」を演奏したホジャイノフさんや、「ラルゴ」を演奏した反田恭平さんの映像も紹介されました。
オソキンス様は
コンクールであっても
常に芸術 常にコンサート
コンクールだからこう弾いて、コンサートだからこう弾いてということは私にはできない
私の哲学で私の芸術を追求している
とおっしゃってました。
コンクールでも即興する、常に完璧ではないピアノを意識していると別のインタビューでも言っていたオソキンス様。オソキンスのこういうところが大好きです。
2015年のコンクールも、今回のコンクールも、選曲やプログラムがオリジナリティ溢れていて、オソキンスワールドを感じさせてくれました。
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ホジャイノフさんは自分のこだわりがある熱心な研究家に見えます。オソキンス様と同じようにコンクールということを意識せず、ショパンの学術発表のようにも感じました。
反田恭平さんはどちらかというと、戦略家のイメージ。(キャラクターがじゃなくて、コンクールへの挑み方が)これまでショパンコンクールで演奏された曲を全部リサーチしたと言ってましたしね。
ポーランドの公園のベンチで感激したという「ラルゴ」は、配信で初めて聴いてとても印象に残っているし、プログラム順もコンクールを意識してよく練られたものなのだと思います。この曲、次回のコンクールから弾く人いそうですね。
選曲に関してはブルース・リウくんとイ・ヒョクくんが弾いたドン・ジョヴァンニ「お手をどうぞ」の変奏曲も、これまでのコンクールでは弾いた人がいなかった曲。
ブルースくんは3次予選でこの曲を弾いた時「雲の上にいるようだった」と言っていたけど、何かが降臨した瞬間だったのだと思う。
会場で観た人は羨ましすぎたね。海老さんも「歴史的名演」と言っていました。
10月のリサイタルで運良くこの曲を生で聴くことができたのは、本当に幸せなことだったなぁ♪今でも車輪に巻き込まれるような、気持ちいい巻き込み事故が忘れられない。
ちなみにブルース・リウくんがピアノを始めた年齢が7歳とテロップで出てたけど、ご本人はインタビューで8歳と言ってるよね?細かいことだけど気になっちゃった。
17歳の3人
ハオラオくん、エヴァちゃん、JJくんの17歳の3人の活躍について取り上げられました。
ファイナル10人中3人が17歳って考えたら確かにすごいことだ。私は予備知識なくショパンコンクールを見ていたので、演奏を聴いた後に17歳ということを知って、びっくりおったまげました。
たった17年でどんな人生経験を経たら、このような音が出せるのだろう?と。転生している方々よね?
このパートでエヴァちゃんとJJくんの演奏はマズルカだったんだけど、ハオラオくんはポロネーズ「英雄」でした。
3次予選の「英雄」は少し小節を飛ばしちゃったのよね?とても堂々と弾いていて素敵だったけど、ポロネーズ「英雄」はその前に聴き比べ特集で出てきたし、他の曲紹介してほしかったなとちと思いました。
楽しめた2時間
ショパンコンクールのテレビ番組は日本人出場者をメインにしたものが多かったので、今回は聴き比べや選曲など別の角度から総合的に見ることができて楽しめました。
聴衆のインタビューで「お気に入りピアニストはAimi Kobayashi」と言っていた人がいました。先日小林愛実さんのコンサートで音の存在感と集中力に圧倒されたので、「そうそうそう」って共感しちゃいました。
ワルシャワの聴衆を魅了した小林愛実さん。よくわかる!愛実さんの尺もうちょっとほしかった。
ファイナル出場者はほとんど演奏が放送。なのに、ファイナル出場者の中でイ・ヒョクくんだけ映像がなかった…これはちょっと悲しかった。
それと「ゲストと司会の推しの演奏もご紹介します」と言ってたと思うけど、海老さんと高坂さんの推しって紹介された?
平野啓一郎さんはブルースくん、アナウンサーの林田さんは進藤美優さん、吉田さんはエヴァさんだったけど、海老さんと高坂さんの推しは明確に言ってなかったような?気になっちゃいました!
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