NHK「蜜蜂と遠雷」の浜松コンクール密着を見て思ったこと

ノート

NHKのドキュメンタリー-「蜜蜂と遠雷」若きピアニストたちの18日-を見ました。2019年放送の番組ですが、NHKオンデマンドまたはAmazonのNHKオンデマンドで視聴できます。

私は人生でとても辛いことがあった時に、ゲオルギス・オソキンス(Georgijs Osokins)の音に出会いました。そこからオソキンスにハマり、ショパンコンクールにハマり、すばらしいピアニストたちの演奏に出会うことができた。

コンクールを通じて音楽に向き合う若い人たちを見てとても心を揺さぶられたこともあって、このNHKのドキュメンタリーを見てみたいなと思いました。

浜松国際ピアノコンクールのドキュメンタリー

「蜜蜂と遠雷」若きピアニストたちの18日-は、小説「蜜蜂と遠雷」のモデルになった浜松国際ピアノコンクールに密着したドキュメンタリーです。

浜松国際ピアノコンクールは3年に1度の開催で、世界で活躍するピアニストたちが出場、入賞しています。

ラファウ・ブレハッチ
 1位なしの2003年大会で2位 
 2005年第15回ショパンコンクールで優勝

チョ・ソンジン
 2009年大会で史上最年少の15歳で優勝
 2015年第17回ショパンコンクールで優勝

アレクサンダー・ガジェヴ
 2015年大会優勝
 2021年第18回ショパンコンクールで2位&ソナタ賞

密着があった2018年は10回目開催。今まで日本人の優勝者はおらず、歴代優勝者見たらヨーロッパの方が多かったです。

日本やアジアからの出場者は多いようで、ドキュメンタリーの中では何名かの日本人出場者にフォーカスしてました。2018年大会最年少の14歳で出場した八木大輔さんや、ドイツに留学している坂本彩さん、30歳で挑戦された兼重稔宏さんなど。

2021年の第18回ショパンコンクールにも出場していたピアニストさんたちの姿も映ってました。攻める正統派な実力者、ポーランドのピオトル・アレクセヴィチ(Piotor Alexewicz)さんや、長い指で奏でる英雄ポロネーズがかっこよかったジャン・カイミン(Kai-Min Chang)さんなど。

密着取材を受けた牛田智大さん

「蜜蜂と遠雷」若きピアニストたちの18日-で密着取材を受けていたのは、牛田智大さんです。

1次予選から本選に至るまでの様子や、コンクールに取り組む気持ち、恩師中村紘子さんへの思い、自宅のピアノや予選通過発表の瞬間まで、牛田智大さんのコンクール挑戦をずっとカメラが追っていました。

コンクール開催中はナーバスになることもあるかと思うけど、牛田智大さんは常に紳士で、天使のような笑顔で話されていて、周りにも気遣いができて、すごい方だなと。

12歳でデビューしてメディアに引っ張りだこだった時、恩師の中村紘子さんに「タレントになりたいんだったら今後あなたとは関わらない」と言われて、中村紘子さんが正統派への道に戻してくれたと言っていたお話が印象的でした。

コンチェルトを弾き終えた後に、中村紘子さんとの間にあった後悔(自分の演奏を聴かせてあげられなかったこと)をリベンジできたとおっしゃった時、なんだか切なくなってしまいました。

牛田智大さんのライバル的存在はイ・ヒョクくん

ドキュメンタリーの中で牛田智大さんのライバル的存在になっていたのが、牛田さんと一緒に本選まで進んだイ・ヒョク(Hyuk Lee)くんでした。

これは少しテレビ的な演出っぽかったような気も。ご本人同士はそんな感じでもないんじゃないかなと思いましたが。

ショパンコンクールで初めて聴いて、とっても好きになったイ・ヒョク(Hyuk Lee)くんのピアノ。ピュアで美しい音と、硬派でしっかり主張がある表現がとてつもなく魅力的だと思いました。

イ・ヒョク(Hyuk Lee)くんも子供の頃から才能を見出され、現在はモスクワに留学中、バイオリンの国際大会にも出場しているそうです。チェスは韓国の世代別大会で3位の腕前。将来の夢は指揮者。

ピアノを弾いている時のイ・ヒョク(Hyuk Lee)くんはのだめみたいだなと思ってたけど、リアル千秋先輩でした。

本選でコンチェルトを弾き終えた後に、「とても幸せ。自分の中でコンチェルトへのストーリーやイマジネーションがあったんだ。それは内緒なんだけどね笑。」と言っていたのがかわいすぎました。ライバルとして登場して、ファンが増える人の典型。

一瞬しか写らなかった1位のジャン・チャクムルさん

そんなこんなで牛田智大さんがいろいろな思いを抱えて挑戦した浜松国際ピアノコンクールには、多彩な才能を持つ強力なライバルがいて、ライバルのイ・ヒョク(Hyuk Lee)くんは本選でラフマニノフの協奏曲第3番を演奏し、牛田智大さんはラフマニノフの協奏曲第2番を演奏する。

というシナリオで進みましたNHKのドキュメンタリー「蜜蜂と遠雷」若きピアニストたちの18日。

最終的に牛田智大さんは第2位で、イ・ヒョク(Hyuk Lee)くんは第3位。第1位だったトルコのジャン・チャクムルさんは一瞬映っただけでした。

ジャン・チャクムルさんには密着してなかったから映像がなかったんですかね?少し寂しい気もしました。せめて本選の演奏を少し流してほしかったかも。

「蜜蜂と遠雷」の密着取材を見て感じたこと

余計なお世話ですが、牛田智大さんのことが少し心配になってしまいました。

だってあまりにも美しすぎる。

子供の頃から天才と言われ、ピアノ王子と呼ばれてきたことや、正統派への道を示してくださった恩師の中村紘子さんとの関係やエピソード、亡き恩師との思い出が詰まった曲の演奏など、全てを通して見える牛田智大さんという人が美しすぎて、シンデレラのガラスの靴のよう。

子供の頃から周囲のプレッシャーが半端なかったんだろうなとか、ピアノ王子のキャラは地なのかなとか、コンクール中も取材の人に優しすぎじゃない?とか色々考えちゃって…。

昔テレビで見た時の牛田智大さんはまだ小さい子供なのに「日経新聞読んでます」と言ってて、こんな大人子供みたいな名探偵コナンくんみたいな子がいるんだなと驚いた記憶があります。

実際の牛田智大さんを知らないので、あくまでもドキュメンタリーから受ける印象でしかありませんが、もっと悪い子になっていいんだよって、思わず声をかけたくなってしまいました。いやほんと大きなお世話なんですけどね。

賞を取ってからが大変

番組の最後に牛田智大さんは「賞に見合った演奏の質を維持しなければいけない。賞を取ってからが大変。」とおっしゃっていました。

いい意味でもプレッシャーが増えたことと思います。

きっととてもまっすぐで天使のような方なんだと思うけど、時にはわがままを言ったり悪さしたりして、周りからの期待を跳ね除けてほしいななんて思ってしまいました。余計なお世話すみません。

ショパンコンクールでは物語のようなピアノを聴かせてくれた牛田智大さん。彼の美しい音色が聴ける日を楽しみにしています。

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moni

引きこもり中のゆるい推し生活を綴ります。スペインのセビージャでフラメンコ留学してました。趣味でピアノを習っていたのは4歳〜16歳くらいまで。素人です。話す言...

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