3/1 ピオトル・アレクセヴィチ ショパンバースデーコンサート

2022年3月1日に212回目のショパンバースデーを記念したコンサートがありました。
ポーランド時間お昼の12時(日本時間20時)はピオトル・アレクセヴィチ(Piotr Alexewicz)くんのコンサート。ショパンの生家から生配信でした。
ピリオド楽器での演奏で、湿度のあるエラールの音の響きが美しかった。
ピオトル・アレクセヴィチくんの心情を思うと、胸が痛くなるような場面もあった配信でした。
アーカイブがChopin Instituteのチャンネルにアップされました。(リンクは記事下に)
フレデリック・ショパン生家でコンサート
フレデリック・ショパンの生家でショパンの212回目の誕生日を記念するコンサートが行われ、ポーランド出身のピオトル・アレクセヴィチ(Piotr Alexewicz)くんが出演されました。
ショパンの生家はポーランドのワルシャワから60kmほど離れたジェラゾヴァ・ヴォラ(Żelazowa Wola)という村にあり、普段は博物館のようになっているそうです。
そのショパンの生家にエラールのピリオド楽器が置いてあり(いつも展示されている)、アレクセヴィチくんが登場してショパンの7作品を演奏しました。
ポーランドからこのようなスタイルで配信される映像を、いくつか見たことがあります。観客はなしでサロンのようなところにピアノが置いてあって、ピアニストだけが登場するスタイルです。
配信スタートはポーランド時間の昼12時、日本は夜の20時。700人くらいがオンタイムで視聴していたと思います。
ピオトル・アレクセヴィチ演奏曲
途中で休憩を入れることなく、7作品14曲は続けての演奏でした。演奏曲と順番はこちら。
No.1 in G minor
No.2 in C major
No.3 in A flat major
No.4 in B flat minor
Waltz in D flat major, Op.64 No.1
Waltz in A flat major, Op.64 No.3
Polonaise in E flat major, Op.26 No.2
Nocturne in F sharp major, Op.15 No.2
Preludes, Op.28
No.20 in C minor
No.21 in B flat major
No.22 in G minor
No.23 in F major
No.24 in D minor
Ballade in F minor, Op.52
ピオトル・アレクセヴィチのピアノ
ピオトル・アレクセヴィチ(Piotr Alexewicz)くんはショパンコンクールで3次予選まで進まれています。コンクールの演奏曲で私が特に印象に残ったのはプレリュードで、実は彼はファイナルにいく人だと思っていました。
コンクールで見た時に感じたのは「アグレッシブな演奏」で、攻めの姿勢の印象がありました。
その後ポーランドラジオのインタビューにアレクセヴィチくんがポーランド語で答えているのを見て、ポーランド語はもちろん1ミリもわからないのですが、話し方から落ち着きや知性を感じ、とても思慮深く謙虚な方なのだろうなと印象が変わりました。(コメント欄に英語訳を載せてくださった方がいます。)
印象が変わったというか、演奏する時と実際のパーソナリティが異なるということなのかもしれない。
ショパンコンクールに参加できたことを光栄に思う
自分がここ(3次予選)まで進むと思ってなかった
プレリュードはピアノ曲の最高傑作の一つ
ソナタとプレリュードは各楽章につながりを持たせる面で似てる部分がある
プレリュードは人間のあらゆる感情が表現されているから好き
演奏はやっぱり炎のように燃えるアグレッシブな印象を受けたけど、それは外側というより彼の内側に沸き立つものがあってそれが演奏に反映されているように感じました。
彼の表情も演奏のイメージを強くするものがあって、ITエンジニアがサーバをいじってるようなしかめっつらで弾く表情が印象的です。
メガネの奥の美しい瞳でじっと見つめ、眉間にシワを寄せながら弾く「子犬のワルツ」は新鮮。アレクセヴィチくんならではの「子犬のワルツ」でした。
彼の10代の頃の写真を見ると、髪が長くて顔が俳優さんのように美しくてまさしく「美男子」なビジュアルなんですが、途中でイメチェンされたのかな?現在は短髪で丸縁のメガネをかけていて、「美男子」を封印しているかのようにも見えます。
コンクール中は「ハリーポッター」って言われていたみたいで、YouTubeのコメントにも「Harry Piotr」って書いてる人がいました。私は今のビジュアルの方が好みです。
この日のアレクセヴィチくんの演奏曲の中で印象に残ったのは、ポロネーズ第1番とバラード第4番です。
不気味な感じの出だしと美しく気高い旋律のコントラストがあるポロネーズ第1番。
ポーランド出身のピオトル・アレクセヴィチくんにとって、ショパンの誕生日にショパンの生家で演奏することは特別なことだっただろうと想像されます。
彼の左の胸元に見えるブルーとイエローのブローチ。アレクセヴィチくんの気持ちを想像して胸がキューっとなるような思いで、演奏を聴きました。
バラード第4番はショパンコンクールの2次予選で弾いていました。日本夜中の演奏順だったけど、フォルテのきれいな響きやラストの勢いが記憶に残ったのを覚えています。
ピリオド楽器は音の響きが違うので、印象が変わります。エラールの湿度があってにじむような音の響きがバラード4番の美しさを引き立てていたように感じました。ラストもとても良かった!
あの時間だけで共有されたもの
この日のアレクセヴィチくんの演奏をもう一度聴きたかったのだけど、アーカイブが残らなかったので聴けずちょっと残念です。3/7にアップロードされました。
あの時間の中だけで共有させてもらえたもの、アレクセヴィチくんが伝えてくれたものがあるのだと感じています。
Piotr Alexewicz | Birthday concert in Żelazowa Wola
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