マルティン・ガルシア・ガルシア ポーランドのリサイタル配信視聴

昨夜というかほぼ今朝、マルティン・ガルシア・ガルシア(Martín García García)さんのリサイタル配信を観ました。
ガルシア・ガルシアさんは、ショパンコンクールの1次予選で抱いた印象と、ファイナルでコンチェルトを弾いた時の印象がもっとも変わった人でした。
こんなにしっとり正統派なコンチェルトを弾く方だったとは!と。彼がずっと心から歌っていたのは、オケと共に歌うことにも繋がっている。予選の時からオケが後ろについていたのかなと思うほどでした。
11月21日(日本時間は22日)配信のリサイタルを観て、多彩なピアノの音色を操るガルシア・ガルシアさんの魅力をたくさん感じました。
第一部
今回のリサイタルはショパンコンクール受賞者としてのリサイタルのようで、おなじみのChopin Instituteが配信をしてくれました。コンクールが終わった後も無料で配信してくれるなんて、Chopin Instituteは本当に太っ腹ですよね。
第一部のプログラムはこちらです。
バッハ 平均律クラヴィーア曲集
Prelude and Fugue in G minor, BWV 885, Book II
Prelude and Fugue in C sharp major, BWV 848, Book I
Prelude and Fugue in D major, BWV 850, Book I
Fryderyk Chopin – Impromptu No.3 in G flat major, Op.51
ショパン 幻想曲
Franz Liszt – Grosses Konzertsolo, S.176
リスト 演奏会用大独奏曲
ど初めでとても印象的だったのは、登場して挨拶して座ってすぐ弾き始めたこと。お客さんの拍手もまだ終わるか終わらないかくらいで。とても潔い!
ピアニストさんたちは椅子に座ってから集中の時間を取る人が多い気がするけど、ガルシア・ガルシアさんは確かコンクール予選の時も曲間の間が短く、お客さんの咳待ちもしないし、潔い印象がありました。
そんな感じで弾き始めたバッハとても素敵でした!乾いた重みがある音というのかな?(表現が下手でスマッソ)ファツィオリでバッハを弾いたらこんな感じなんだ、コンクールで聴いたショパンの音色や表現とは全く違うぞと素人の私でもわかるほどです。
この日の客席はなんだか変わっていて、ほぼ全部の曲間で拍手をするみたいな。ガルシア・ガルシアさんは瞬間ちょい笑顔くらいになってたけど、やはりお客さんの拍手終わる前に潔く弾き始めてました。
リストの「演奏会用大独奏曲」はとても引き込まれました。バッハともショパンとも違う音色。ダイナミックで切れ味があって。引き込まれていたら、あっという間に終わりました。テノール歌手のような歌声も聴こえたね。
そして弾き終わったらすぐ立つ。そこも潔い。
第二部
第二部はコンクールの3次予選で弾いた中からマズルカ、24のプレリュードから抜粋3曲、ソナタ第3番でした。
ショパン マズルカ 作品50
No. 1 in G major
No. 2 in A flat major
No. 3 in C sharp minor
Fryderyk Chopin – Preludes, Op.28
ショパン 24のプレリュード
No. 17 in A flat major
No. 19 in E flat major
No. 23 in F major
Fryderyk Chopin – Piano Sonata No.3 in B minor, Op.58
ショパン ソナタ第3番
コンクールで弾くのとリサイタルで弾くのとでは、気持ちがおそらく違いますよね。
ガルシア・ガルシアさんはショパンコンクール1次予選の時は、心から歌う姿にとても惹かれながらも不安定な印象もありました。予選が進むごとに調子をあげていった感じで、心から歌う姿にみんなが釘付けになっていったと思います。
ファイナルではキラキラした、オケと共に歌う完成度の高いコンチェルトを見せてくれて、1次予選の時とイメージがガラリと変わりました。
第二部はコンクールの3次予選と同じ曲でしたが、コンチェルトを聴いた時のような、とても落ち着いた聴かせる演奏を届けてくれたと感じました。
ソナタは彼が歌う部分が目立ちますよね。第4楽章の最後の一音とともにガルシア・ガルシアさんのテノールな歌声が響くと、もはや歌ありの曲なのかと錯覚するほどです。
アンコール
第一部、第二部で多彩な演奏を見せてくれた後、アンコールも素敵でした。
– Waltz in F major, Op.34 No.3
ショパン ワルツ第4番
Franz Liszt
– Valse-Impromptu, S.213
リスト 即興ワルツ
Robert Schumann
– Fantasy piece in A flat major, Op.111 No.2
シューマン 幻想小曲集
アンコール1曲目はコンクール3次予選で最後に弾いた子猫のワルツ。これも花束もらって拍手が終わらないうち、というかお客さんが座ってないうちにサッと弾き始めたの。粋です。3次予選で見た時に頭をフリフリしながらこの曲を弾く彼を見て、まるで隣に子猫がいるみたいだなと思ったのを思い出しました。
2曲目のリストの即興ワルツがとっても素敵でした!今日になっても頭から離れない。なんと気持ち良い飛ぶような音なんだろう。この曲をほとんど聴いたことがなかったので、ものすごく素敵な曲だと思いました。
最後の低音は楽譜にないようなので、ガルシア・ガルシアさんのオリジナルですかね?その場でたまたまにそこに触れた、というようなとっても自然な音と弾き方が秀逸でした。
これで終わりかと思ったらアンコール3曲目もありました。初めて聴きました、シューマンの幻想小曲集 Op.111-2だそうです。前のワルツとは全く異なる、まろやかさと深い呼吸。なんて引き出しの多い方なのだ!
また新たな魅力を見せてくれたマルティン・ガルシア・ガルシア
曲ごとに多彩な音色を操り、観ている人をグッと引き込むガルシア・ガルシアさんの魅力が伝わるリサイタルでした。潔い振る舞いも素敵です。現地で聴いた人は幸せだなぁ。
まだこのリサイタルを見ていない方がいらっしゃったら、ぜひ視聴してみてください。拍手のタイミングがなんか変だったのと、携帯がかなり長いこと鳴り続けたのはちょい残念ですが、素敵な演奏が聴けます。
2021/11/21のリサイタル@ポーランド▼
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