東芝グランドコンサート2022の千秋楽 ミューザ川崎で満たされた

3月8日(火)にミューザ川崎シンフォニーホールで行われた「東芝グランドコンサート2022」に行ってきました。
ダーヴィト・アフカム指揮者とスペイン国立管弦楽団が来日予定でしたが、コロナ禍の入国制限の影響で出演者とプログラムが変更になりました。
指揮:ガエタノ・デスピノーサ Gaetano d’Espinosa
ソリスト:村治佳織(ギター)反田恭平(ピアノ)
当初は3月7日のサントリーホールが村治佳織さん、8日のミューザ川崎が反田恭平さん出演の予定でしたが、プログラム変更により両日ともに村治さん、反田さんが出演されました。
スペイン国立管弦楽団の来日が不可となったのは残念でしたが、村治佳織さんのギターを生で聴いたことがなかったので、嬉しい変更でもありました。
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東芝グランドコンサート@川崎ミューザ
東芝グランドコンサート2022は第41回目となるそうです。まさかの私が生まれる前から続いている長い歴史があるコンサートなのですね。
最終日はミューザ川崎シンフォニーホールの大ホールでの開催でした。川崎に行くのは10年以上ぶり。だったので、開場前にラゾーナ川崎でお茶していきました。
おいしいスフレとお茶を楽しんだので、次の記事に書きました。
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ミューザ川崎は川崎駅から直結とも言える歩道橋を渡ってすぐ。開場10分後くらいに行ったら、すでにたくさんの人が来ていました。
「ミューザ川崎シンフォニーホール」は2004年開館の新しいホール。大ホールの座席数は1997席です。
サントリーホールと同じ「ヴィンヤード形式」で、舞台を360度客席が取り囲んでいるのが特徴。写真で見ていたよりも、ステージと客席が近かったです。
予算の都合もあり(汗)舞台後方の席を買っていました。オーケストラのすぐ後ろの席だったので、自分もオーケストラの一部みたいな感覚を楽しめました。
指揮者さんの表現や表情を見られた特等席で、ピアノの反田さんがオケを何度も温かい目で見てらっしゃったのがものすごく印象的でした。
音響的にはもちろん正面席の方がいいのだと思いますが、舞台後方席もなかなか貴重な体験ができるのだね!
第一部
出演者とプログラムが変更になったので、村治佳織さん、ジャパン・ナショナル・オーケストラの演奏をお初で聴かせていただきます。
第一部は村治佳織さんのギターコンチェルトと、ジャパン・ナショナル・オーケストラの交響曲でした。
ロドリーゴ:アランフェス協奏曲
ギター:村治佳織
メンデルスゾーン:交響曲第4番 イ長調 作品90「イタリア」
ロドリーゴ:アランフェス協奏曲 ギター:村治佳織
村治佳織さんのCDを学生の時に聴いていた記憶。フラメンコを聴くようになってからギターそのものの音色に魅力を感じるようになり、村治佳織さんの「CAVATINA カヴァティーナ」よく聴いてました。
村治佳織さんはとっても素敵なピンクとブルーのドレスで登場されました。バラ柄だったのかな?
パキッとしたピンクとブルーのドレスで、美人ではっきりしたお顔立ちの村治佳織さんによくお似合いでめちゃくちゃ美しかったです。
村治佳織さんが第一部で弾いてくれたのは、「アランフェス協奏曲」です。
アランフェスはスペインの首都マドリードの南部にある小さな町。スペイン内戦の影響を受けたアランフェスとスペインの平和を願って作られた曲だそうです。
「アランフェス協奏曲」はフラメンコとは違う音楽ですが、スペインっぽい旋律を感じることができます。
アラブっぽい旋律や、クラシック的には不協和音になりそうな音がフラメンコには存在します。「アランフェス協奏曲」の第二楽章は、そういったスペインの香りを感じる音楽です。
旋律に国の文化が反映されるのは、本当に興味深いです。
村治佳織さんのアンコールは「禁じられた遊び」でした。この場でこの名曲を村治佳織さんの演奏で聴けると思っていなかったので、これはテンション上がり!
私が座っていた席が舞台後方だったので、さすがに前を向いて弾くギターの音は遠く感じました。手の動きは全く見えず…。
村治佳織さんのギターは真正面で聴きたかった!
メンデルスゾーン:交響曲第4番 イ長調 Op.90「イタリア」
第一部の2曲目はジャパン・ナショナル・オーケストラ演奏、メンデルスゾーンの交響曲第4番 イ長調 Op.90「イタリア」です。
反田恭平さんが創設されたジャパン・ナショナル・オーケストラ(JNO)は、若手の演奏家たちが集まっています。
JNOの演奏を聴くのは初めてでした。勢いがあってとても良かった!
舞台後方の席だったので、ガエタノ・デスピノーサ マエストロの指揮の様子を特等席で見ることができて、それも臨場感を掻き立てました。自分もオケの一員になったみたい。
「のだめカンタービレ」観てた人は第一楽章聴いたら、のだめのシーンを思い出すはず。晴れやかな気持ちになった演奏でした。
第二部
第二部はピアノソリストで反田恭平さんが登場。プロコフィエフのピアノ協奏曲第3番の予定が、ショパンのピアノ協奏曲第1番に変更になりました。
ショパン:ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 Op.11
ピアノ:反田恭平
反田恭平さんのショパンのコンチェルトをこんなに早く聴ける日が来ると思っていなかったので、感激です。
自身で創設したオーケストラとの共演なので、反田さんは自由に伸び伸びと弾いていたように見えました。繊細で、でも芯が太い演奏。
自分が演奏していないパートは何度もオケを見て、とても温かい眼差しを送っていたのが印象的でした。
反田さんのオーケストラへの想いがひしひしと伝わるよう。舞台後方席でばっちり見られて良かったです。
ガエタノ・デスピノーサ マエストロの指揮や表現も楽しみながら拝見しました。中間部はグッとテンポを落として、勢いあるピアノパートとのコントラストも興味深かったです。
ラストは会場のみなさんが、ショパンコンクールのファイナルを思い出したのではないでしょうか。反田恭平さん、会場を熱くしてくれました。
演奏終わってすぐスタンディングオベーションだった人も多かったです。
アンコール
反田恭平さんのアンコールはシューマン=リスト「献呈」でした。
幸せな気分になっていた会場をさらに幸せな気分にしてくれました。すごくかっこいいソリスト、社長、オケの創設者、そして音楽家だなーと思いながら、反田ワールドに浸りました。
カーテンコールがあって、反田恭平さんと村治佳織さんがマイクを持ってご登場。
この日は「東芝グランドコンサート2022」の千秋楽ということもあり、特別な感じがするーって反田さんがおっしゃってました。村治佳織さんは過去に東芝グランドコンサートに2回出演されているそうで、1回目の時は高校生だったそうです(!)
そしてアンコールを演奏しましょうか、2人だとなんなのでもう一人お呼びしましょうかという流れになり…
登場されたのがヴァイオリンを持ったマエストロ ガエタノ・デスピノーサ。
えー!マエストロも演奏してくださるの!
反田さん情報によるとヴァイオリンはパガニーニだそうで、「超高いらしい」とオケのメンバーに言ってました。こういうお茶目なところがメンバーに愛されてるんだろうなぁ。
3人のアンコールはアストル・ピアソラの「アヴェ・マリア」でした。
マエストロのヴァイオリン、すばらしかったの…。優しそうなお人柄が演奏に現れているようで、釘付け、いや耳付けでした。真正面から観た方がうらやましかったです。
「満」なコンサートでした
この日の体験を漢字一文字で表すなら「満」でした。スペイン語なら「llenar」です。
悲しいニュースが続く最近ですが、音楽を聴いている時だけは無になれる。
そんな無の心を満たしてくれたコンサートでした。
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