妙技の18歳 イム・ユンチャン(Yunchan Lim)

ピアニスト

ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールを見ています。

明日からファイナルが始まるので、このコンクールで知った注目のコンテスタント、韓国のイム・ユンチャン(Yunchan Lim)さんについて書こうと思います。

1次予選で初めてお見かけした時、すごい18歳だと思いました。特にクープラン、モーツァルトの繊細さ&上品さが美しくて…。セミファイナルのモーツァルトのコンチェルトすばらしかった。

予選ごとに演奏する曲それぞれから受けるイメージが違って、多彩な音楽やピアノへの姿勢を見せてくれるピアニストさんだなーと思いました。どことなく神秘的な感じもする。18歳でまだすごくヤングなのだけど。

現在、韓国芸術総合学校(大学)に在学中。14歳で初めて国際コンクールに出場して2位受賞、その後もコンクールに出場し、国外のオーケストラと共演など活躍の場を広げているそうです。

ユンチャンさんってちょっと言いにくいので、以下ユンチャンで書きます。お許しください。

イム・ユンチャンのリサイタル@クライバーン

ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールの予選はリサイタル形式になっていて、指定時間(40分・60分)の中での選曲は1次予選の課題曲を除くと自由です。

イム・ユンチャンは1次予選がクープランとモーツァルト、ショパン。2次予選はバッハとスクリャービン、ベートーヴェン、セミファイナルはリスト。予選ごとに異なる時代の作品を演奏し、作曲家ごとに異なるイメージを与えてくれました。

1次予選からセミファイナルまでのリサイタルで演奏した中では、女性的なクープランと繊細なモーツァルトが抜群に好きだった!線の細い感じが上品で、スマート。

バッハも良かったので、個人的にはバロック・古典がとても素敵だと思いました。

1次予選演奏曲

HOUGH Fanfare Toccata
COUPERIN “La Couperin” from Pièces de clavecin, Book IV, order 21
MOZART Sonata No.9 in D Major, K.311
CHOPIN Variations on “Là ci darem la mano,” op.2

女性的で繊細なクープランがとても美しく、私が勝手に想像するクープランのイメージにぴったりでした。

上品でどこか線が細い感じもするモーツァルトのソナタが絶妙。第2楽章の美しいこと。童心と大人が混在するような第3楽章。すごくスマートでエレガントな印象も持ちました。

最後のショパンの「お手をどうぞ」の変奏曲は出だしがとてもゆったりだったけど、超高速になっびっくり。よく手が動く。ヤングー!

すごい18歳だなと素直に感じた1次予選。

「お手をどうぞ」の変奏曲は、4年前のクリーブランドコンクールのセミファイナルでも演奏していました。YouTubeに動画があります。14歳の時?純粋でストレートでこの演奏とても好き。

おすすめ記事 ▷ イム・ユンチャンYouTube動画 ショパン「お手をどうぞ」変奏曲

2次予選演奏曲

BACH “Ricercar a 3” from The Musical Offering, BWV1079
SCRIABIN Sonata No. 2 in G-sharp Minor, op.19 (“Sonata-Fantasy”)
BEETHOVEN Variations and Fugue in E-flat Major, op.35 (“Eroica”)

バッハの「音楽の捧げ物」から3声のリチェルカーレ。上品に自分の空気感を作っていく感じ。素敵。

ベートーヴェンの変奏曲は、エレガントな中に華やかさがありました。スマートな強弱や抑揚が好みだった。

この「エロイカ変奏曲」初めて聴いたけど、途中(チャチャチャって)和音の連打で飛び跳ねるみたいなところ、すごくベートーヴェンっぽいね。(語彙力)こういうパートはユンチャンの若さが出たように感じたのと、フーガから終結部が特に華やかだった。

こちらのコンクールは重ための大曲が人気なのかなという印象なんですが、その中でユンチャンからは煌びやかな雰囲気を感じ、気になったのでした。

セミファイナル演奏曲

LISZT 12 Transcendental Etudes

これはすごかった…。

入り込むタイプなのか、拍手が鳴り止まぬうちに弾き始めたリストの超絶技巧練習曲12曲。

1次予選、2次予選とバロック、古典を中心にエレガントな世界観を見せてくれていたユンチャンは、3次予選のリストで手中に収めた感じ。

人ってすごいと笑うんだよね。素人の私でも知ってる難曲を高速で余裕っぽく弾くユンチャン。

おっとこの速さで「マゼッパ」弾けるの!?とびっくりして見ていたら、次の「鬼火」も速くて時にノールックで、私はPC画面を見ながら笑ってました。なんて超絶技巧だ。手が自動で動いてるみたい。

オクターヴの連打になると破壊的衝動に駆られるようで、そこだけちょっと心配。大丈夫やで。

ものすごい集中で、とにかく圧倒され続けたリストの超絶技巧でした。只者じゃない感がハンパなかった。

Yunchan Limアーカイブ▼

イム・ユンチャンのモーツァルトコンチェルト@クライバーン

セミファイナルはモーツァルトの協奏曲の演奏もありました。ユンチャンが演奏したのは22番。第3楽章は映画「アマデウス」に出てくる。

MOZART Piano Concerto No.22 in E-flat Major, K.482

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モーツァルトの中の音色の多彩さにうっとりでした。なにぃぃなんて引き出しがあるのだ!

オーケストラとのバランスの中での強弱や抑揚のセンスがよく、ユンチャンの表現が全力で好きです。カデンツァは軽快な音が光ってたよ。

繊細で線が細い感じも、私が勝手に描くモーツァルトのイメージにぴったり。

晩年のモーツァルトの協奏曲はどこかもの寂しい気がするんだけど、ユンチャンの第2楽章にそれを感じました。内省的な陰。ご本人は神秘的な感じもするし、人生何度目かなのかな。

第3楽章は軽やかで、エレガントで、繊細で、潤いがあって、それらが絶妙にコンバインされてました。medici.tvアーカイブの35:45あたりの「こんな感じどぉ?」みたいな弾き方と表情がなんか好き。

ものすごく素敵なモーツァルトのコンチェルトでうっとりでした。美しいぃぃ。

Yunchan Limアーカイブ▼

イム・ユンチャンのCDアルバム

ユンチャンのCDアルバムありました。韓国ではCDが出てるみたいだけど、輸入されてなくて日本はサブスク&MP3のみのようです。

「Young Musicians of Korea 2020」というタイトルで、ベートーヴェンのソナタ14番(月光)とリストの「巡礼の年《第2年 イタリア》」が収録されています。

ベートーヴェンのソナタ第3楽章が高速で、もともと高速な曲にさらに疾走感があります。第1楽章は最初聴いた時はサラッとしてるなと思いましたが、これは余計なものを削ぎ落とした引き算の美学なのではないかと感じてきています。もう少し聴き込みたい。

リスト「巡礼の年」のペトラルカのソネット3曲がすばらしいと思いました。抑制されたロマンティックな情感が美しく、多様な芸術に触れてきた人かのよう。なんとなく神秘的なユンチャンの雰囲気と勝手に重ねてます。

最後の「ダンテを読んで ソナタ風幻想曲」は音の層、迫力がすごい。大男が演奏してるみたい。そして中間部のダイナミックと繊細が同居したデッサン力。

ふわぁ10代でこの演奏ができるものなのか…後でこの録音が15-16歳の頃と聞いておったまげました。この表現力どこから!

追記:そして何歳からピアノ弾いてるんだろうって思っていたら、Yahooの記事に「7歳からピアノを始めた」と書いてあってびっくり!

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イム・ユンチャンの妙技

バロック、古典の繊細で上品な演奏と、リストの超絶技巧練習曲と、ラウンドごとに異なる魅力を見せてくれているイム・ユンチャン。

めちゃくちゃ弾ける方だと思うけど、超絶技巧で鮮やかに演奏する時もあれば、繊細で陰を感じる美しさも見られるのが、彼の妙技なのではないかと思いました。見た目おとなしそうなのに、ピアノの前では雄弁なところも魅力。

衣装も毎回違っておしゃれさん。コンチェルトの時は髪の毛オールバックにしたらかっこいいと思うんだけどな。

黒シャツに黒パンツ(1次)
白シャツに黒パンツ(2次)
黒シャツ、黒パンツに黒のジャケット(セミファイナルリサイタル)
白シャツに黒のネクタイと黒ジャケット(セミファイナルコンチェルト)
白シャツに蝶ネクタイとジャケット(ファイナル)※追加

若いから難曲もガンガン弾いてほしいし、クープランやモーツァルトの繊細で美しい音楽も聴かせてほしいです。

ユンチャンのファイナルは明日のトップバッター!楽しみにしています。

追記:ファイナル3日目のラフマニノフ3番すごすぎた!

おすすめ記事 ▷ クライバーンピアノコンクール2022:ファイナル3日目

初来日決定!
チケットは10月15日〜チケットぴあiconで一般発売

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moni

引きこもり中のゆるい推し生活を綴ります。スペインのセビージャでフラメンコ留学してました。趣味でピアノを習っていたのは4歳〜16歳くらいまで。素人です。話す言...

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