深く濃密なYutong Sun(ソン・ユトン)2次予選の演奏

2021年第18回ショパンコンクール1次予選を見てから、ものすごい気になっていた中国のピアニストYutong Sun(ソン・ユトン:孫楡桐)さん。
2次予選でもとっても心奪われる演奏を見せてくれました。まさに「能ある鷹は爪を隠す」
まさかの3次予選に進むことができず驚きでしたが、Yutong Sun(ソン・ユトン)さんのピアノの魅力は変わらない。
深くて濃密で、ゾクゾクする演奏を見せてくれたYutong Sun(ソン・ユトン)さんの2次予選。すばらしかった!
1次予選の感想はこちら。
おすすめ記事 ▷ Yutong Sun(ソン・ユトン)の自然体と静寂が魅力的なピアノ
Yutong Sunが2次予選で弾いた曲
Yutong Sun(ソン・ユトン)さんが1次予選に登場したのは、10月10日の2日目モーニングセッションです。日本人ピアニスト角野隼斗さんの後で、休憩前の3人目でした。
弾いた曲順は以下。使用ピアノは「スタインウェイ 479」です。
ワルツ第5番 / Waltz in A flat major, Op.42
ポロネーズ第5番 / Polonaise in F sharp minor, Op.44
スケルツォ第3番 / Scherzo in C sharp minor, Op.39
私の中で彼は大泉洋的な感じなのですが、飄々とした顔でものすごい深くて濃密な表現するのが好き。私的保存版になる2次予選の演奏でした。
大人の風格と黒さがある演奏
まず2次予選を聴いた感想を端的に言うと、かっこよすぎ!ゾクゾクする演奏でした。
バラード第3番
1次予選はバラード1番からスタートして一気に心を持っていかれたのですが、2次予選もバラードから。
独特な間の取り方があってたっぷりとした「バラード第3番」でした。深みのある音はまるで長老が弾いているような魅力。なんと自然体な表現力!またもや彼のバラードで心を掴まれました。
ワルツ第5番
いやぁこの「ワルツ第5番」はものすごく好きだった。
たっぷり弾いたバラード3番と対比するような軽快さと、スピード感ある音の流れで、緩急のバランスが秀逸。
低音を層が厚く感じられ、エレガントな大人な香りのするワルツにやられた〜!こんなに艶っぽい大人のワルツがあるでしょうか。
下の動画9:22あたりの弾き方がものすごく好き。9:40あたりからのパートは色気を感じます。9:57は悶絶。
ポロネーズ第5番
ドヒャー。このポロネーズは心を奪われました!いやすごい!
深くて濃密なYutong Sun(ソン・ユトン)さんの「ポロネーズ第5番」から感じたのは、気高い大人の風格、そして奥底に見えるような黒さ。このゾクゾクする黒さが私にはたまらなかったです。なんて表現力なのだ!
私は音楽を専門的に学んでいないので「これがショパンらしさだ」というところまでわからないし、ショパンに「黒さ」はいらないのかもしれないけど、人間が持つ黒さが表現される芸術に惹かれます。
人間は誰しも黒い部分を持っていると思う。ショパンが黒い人だったというわけではなく、華麗で上品で繊細な曲をたくさん残すショパンでも黒い部分や人に見せたくない部分があったはずで、それがYutong Sun(ソン・ユトン)さんの演奏で少し見えるような気がしたのです。
中間部の色気のあるような歌い方。曲のラストはとても切なさや苦しみも表現された音に聴こえました。
2次予選ではポロネーズが課題曲になっているので、たくさんの「ポロネーズ第5番」を聴けました。2次予選で聴いた中で私はYutong Sun(ソン・ユトン)さんの黒さが見えるポロネーズ5番が一番好きだったな。これは本当に名演だと思いました。
スケルツォ第3番
Yutong Sun(ソン・ユトン)さんは背の高い方だと思いますが、「スケルツォ第3番」では長身から出る迫力や重厚感、そしてスケルツォならではの(と私が思ってる)躍動感がありました。
最後の盛り上げは何度もリピートしたくなってしまうかっこよさ。最後の一音弾いた瞬間に会場から拍手が出ましたが、その気持ちわかります。
2次予選YouTubeアーカイブ▼
Yutong Sunの動画を探す
YouTubeにYutong Sun(ソン・ユトン)さんがスペインのサンタンデールで開催された国際ピアノコンクールに出場された時の動画がありました。
プロコフィエフの「ピアノ協奏曲 第3番 ハ長調 作品26」です。勢いのあるコンチェルトを全身で弾いていてかっこいい!
これ見てびっくりしたのが、Yutong Sun(ソン・ユトン)さん笑ってる!曲間では優しいハニカミも見えます。なにこれめちゃくちゃかわいいんですけど!萌え。
演奏に没頭している姿に惹かれます。コンチェルト見たかったな。
またYutong Sunの演奏を聴きたい
3次予選にYutong Sun(ソン・ユトン)さんが進まなかったのは本当に残念です。
音と音の間や静寂のコントロール。大人の風格感じる低音と黒さが垣間見える演奏。そんな彼がマズルカやソナタをどのように弾くのか、見てみたかったです。
いつかYutong Sun(ソン・ユトン)さんの演奏を生で聴いてみたいなー♪来日お願いします!
追記:2022年夏に来日決まったようです!
【速報】主催公演のご案内
国際コンクールで異彩を放った新星たちが待望の来日!飯森範親先生指揮の東京交響楽団と初共演!
期日: 2022年7月19日(火)
会場: ミューザ川崎シンフォニーホール
開場: 17:30/開演: 18:30ソリスト:
饒灝(ラオ・ハオ)
李拉(リ・ラ)
孫楡桐(ソン・ユトン)お楽しみに✨ pic.twitter.com/fwbVdz6xzL
— 株式会社揚帆起航 (@NewVoyage_Japan) November 13, 2021
コメント ( 0 )
トラックバックは利用できません。
この記事へのコメントはありません。